第32話

孤独アフレイド!
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2020/11/27 17:00
あなた
グリム、大丈夫?!
グリム
グリム
おぉ、あなた!…って、何ゴースト増やしてくれてんだゾ!
あなた
へ?

グリムに走り寄った私が少し息を整えながら後ろを見ると、

私の背にぴったりと張り付くかの様にさっきのゴーストがついて来ていた。
あなた
なっ、わっわわわわ!
グリム
グリム
ふな"ぁ"っ!あなたもこっちに来るんじゃねぇ!
あなた
ひ、酷い!!!
ゴーストC
ゴーストC
ほらほら、待て待てぇ〜。
グリム
グリム
こうなったらオレ様の自慢の炎で追っ払ってやるんだゾ!

グリムの口から小さく青い火の粉が空気中にチラチラと放たれるのが目に入った。


(と、止めないと!!!)


この寮の作りは見た感じ木材が多く使われているし、外は雨が降っているとはいえ、一度火がついてしまうとなると只事では済まされない。

火の勢いは早く、凄まじく、そして恐ろしいのだ。

この寮の場合、あっという間に焼き崩れてしまうだろう。



『バタバタバタッ』

ゴーストに追われながらもグリムの傍まで駆けて行くと、

私は強引にも炎を吹き散らすグリムを後ろから抱きかかえた。
グリム
グリム
?!

驚いたグリムがじたばたと手足を動かす。
グリム
グリム
お、おい!何するんだゾ?!
あなた
こ、ここで炎を吹くのは流石に駄目!寮が燃えちゃう!
グリム
グリム
なっ、そんな事言ってる場合じゃないんだゾ!
あなた
そ、そうだけど!
ゴーストA
ゴーストA
イッヒッヒッヒッ、喧嘩してていいのかな〜?
ゴーストB
ゴーストB
ほらほら〜。
あなた
わわわ!

ふよふよと自由に動き回るゴースト3人組は私達をゆっくりと玄関の壁際まで追い詰める。
グリム
グリム
寮が燃えちまうとか… そんな事、オレ様には関係ないんだゾ!
あなた
…っ、

グリムが思う未来に私が居ないことに少し傷ついた自分が居る。

分かってはいたが、やっぱり言葉にされると傷つく。

学園長からこの学園の生徒として入る為の条件を聞かされた時、グリムはあまり乗り気では無かった。


(…、)


少し傷ついた心に蓋をしようとしているのか、自然とグリムを抱える手にも少し力が入った。
あなた
あ、ある、関係あるよ!!!

(『関係ない』なんて言わないで…)


どう考えても無茶な話なのは理解している。

私は1人、何かしらの手違いで異世界にやって来てしまい、元の世界へは直ぐに帰れないと来た。



独りなのが不安、独りなのが怖い。


自然とそう思う自分が居る事は自覚済みだ。


それを今日会ったばかりの相手に満たす様に求めている、なんて。

こんなに図々しくて、馬鹿げている話はないだろう。




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