第33話

大魔法士エイム!
3,082
2020/12/04 17:00

グリムが思う未来に私が居ないことに少し傷ついた自分が居る。

その気持ちに蓋をしようとしているのか、自然とグリムを抱える手にも少し力が入った。
あなた
こ、攻撃する前に何か他の方法を探そう?
ほら、例えば…えっと、…
グリム
グリム
魔法も使えねぇ癖に一丁前なこと言ってんじゃねぇ!
あなた
っ、分かってる、けど、


(何も、出来ない事は………)

あなた
分かってるけど…!
グリム
グリム
分かってるなら、さっさとこの手を離

グリムの言葉を遮って、私は大きな声で言い放つ。

その声は見事に寮内に響き渡った。

こんなにはっきりと意図的に大声に言葉を乗せたのは久しぶりな気がする。

あなた
嫌だ!!!!!
グリム
グリム
はぁぁあ?!?!

私の腕の中のグリムは顔を上げ、私と目を合わせた。

「何言ってるんだゾ!」と、ジタバタとさっきよりも更に暴れる。
グリム
グリム
この腕を解け
あなた
嫌だね、絶対離してやんない!

私達の会話を傍観していたゴースト達に私は背を向けて蹲る。

ふと、闇の鏡の前でした会話が頭の中を過ぎった。





『私が出す条件を守って下さるなら、
我が校、ナイトレイブンカレッジで学生としての生活を送らせてあげます!』


『な"っ?!』


『えっ?!』


『私、優しいので。(ニコッ)』






その条件は幾つかあって、とても私だけでは決められそうになかった。


だけど、今なら…


(よし、決めた!)


グリムが痛くないように抱き締めながら、私は決意を宣言した。
あなた
私、この学園の生徒になる!
グリム
グリム
あなた
勿論、グリムと一緒にね!
グリム
グリム
な、何をいきなり言い出すんだゾ!
あなた
え、
グリム
グリム
大体、魔法の使えないあなたがここの生徒になったって出来ることなんかねぇんだゾ!
分かってんのか?!

グリムの噛み付くような発言に私は少し笑って応えた。
あなた
分かってるよ、そんなの。
グリム
グリム
なっ、?!
あなた
だからさ、なろうよ。大魔法士に。
一緒に目指そうよ。
グリム
グリム
あなた
ね、良いでしょ?
グリム
グリム
あなた
…?
グリム
グリム
……
あなた
………グリム?

ニッと笑ってみせたが、グリムは暫く私を見つめてからフイッとそっぽを向いてしまった。

呼びかけても口を閉ざしたままで。


(あれ、変な事言っちゃった?)


私はグリムから少し視線を逸らし、「う〜ん、、」と頭を悩ませる。


(確かに、今のは結構強引且つ独断過ぎた…かも……)


グリムが嫌なら…というフレーズを口の中で待機気味にもごもごさせていると、

漸くグリムが口を開いた。


グリム
グリム
勝手にしろなんだゾ。
あなた
グリム
グリム

グリムの恥ずかしそうに伏せた目はチラリと私を見て、直ぐに外された。

最初は何を言われたのか分からなかった私も、

理解するや否や自然と顔が綻び、笑みが零れる。
あなた
……ふふふ、

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