第15話

紺青フレイム!
5,324
2020/06/16 17:00
私を囲む様に立っていた男達が私から離れると、私は恐る恐る姿を現した。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
ああっ!!!貴方、もう鏡の間に居たんですか?!?!
駄目じゃないですか!!!
大きく声を張り上げた学園長の様子からして、

私が " 女 " であるともう分かっているらしい。
美しい男
美しい男
『駄目』?
何がいけないのよ、学園長。
眼鏡の男
眼鏡の男
新入生は入学式であるこの日に闇の鏡で寮分けを行うのが伝統ですが…何か『駄目』な事情でも?
チラリと私に目をやる学園長は、少しおどけた様子で応える。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
…いいえ、まさか。
この使い魔の事で校則のお話をしてから、寮分けをお願いするつもりでした。
獅子の耳を持つ男
獅子の耳を持つ男
ふん…寮分けはもうとっくに済んだぞ。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
まさか、貴方!
寮分けまでしたんですか?!
勢いよくこちらに振り返った学園長に私は黙ってコクコクと頷く。
ターバンの男
ターバンの男
それでだな、学園長。
この新入生、魔力が無いからどの寮にも相応しくないーって言われちまったんだ。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
誰に?
タブレットの声
タブレットの声
闇の鏡に、に決まってるじゃないすか。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
何ですって?!
性別はまだしも、魔法が使えない人間を黒き馬車が迎えに行くなんてありえない!
美しい男
美しい男
性別?
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
コッホン(咳払い)…何でもありません。
とにかく、生徒選定の手違いなんてこの100年、1度も無かったはず。
一体、何故…?
グリム
グリム
(モゴモゴ…)ぷはっ!
学園長が押さえていた手を払い、真下の床に着地したグリムが私を指さして言う。
グリム
グリム
だったらその席、オレ様に譲るんだゾ!
あなた
グリム
グリム
そこのニンゲンと違ってオレ様は魔法が使えるんだゾ!
だから代わりにオレ様を学校に入れろ!
腕組みをして堂々と宣言する、グリム。

かと思えば、ニヤリと悪い笑みを浮かべた。
グリム
グリム
魔法ならとびっきりのを今見せてやるんだゾ!
赤髪の男
赤髪の男
みんな伏せて!
『ザワッ!』

周りの生徒がざわついたかと見えた瞬間、

グリムの唸り声と共に、あの青い炎がゴオォォッと音を立てて広間内に大きく広がった。
ターバンの男
ターバンの男
おおっと…


『ヒョイッ』


隣に居たターバンの男が私の腹部に手を回して抱えると、

颯爽と炎を避ける。
ターバンの男
ターバンの男
危なかったな!
火傷は無いか?大丈夫か?
あなた
あ、はい!
無いです、けど…
ターバンの男
ターバンの男
なら、良かった!
それにしても軽すぎないか?ちゃんと食べてるか?
あなた
え、えぇっと、
ターバンの男
ターバンの男
ジャミルの飯は最高なんだぜ!
今度食わせてやるよ!
「はははーっ!」と太陽の様な笑顔を見せる彼に圧倒される私。
美しい男
美しい男
カリム、その新ジャガを守ってもアンタが燃えてたら意味無いじゃない!
ターバンの男
ターバンの男
えっ?!…って、うわあ!!あちちちっ!尻に火が!
気づいた私が尻部分が燃えている彼の火を消そうとすると、

今度は学園長に手を引っ張られる。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
貴方は私の傍に居て下さい、良いですか?
くれぐれも離れないように!
あなた
で、でも、ターバンの生徒さんが!
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
良いですから!
学園長は私を学園長の背の方に追いやってしまうと、生徒に指示を出す。
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
このままでは学園が火の海です!
誰かあの狸を捕まえて下さい!
獅子の耳を持つ男
獅子の耳を持つ男
チッ…かったりぃな。
美しい男
美しい男
あら、狩りはお好きでしょ?
まるまる太った絶好のオヤツじゃない。
獅子の耳を持つ男
獅子の耳を持つ男
なんで俺が。テメェがやれよ。

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