私を囲む様に立っていた男達が私から離れると、私は恐る恐る姿を現した。
ああっ!!!貴方、もう鏡の間に居たんですか?!?!
駄目じゃないですか!!!
大きく声を張り上げた学園長の様子からして、
私が " 女 " であるともう分かっているらしい。
『駄目』?
何がいけないのよ、学園長。
新入生は入学式であるこの日に闇の鏡で寮分けを行うのが伝統ですが…何か『駄目』な事情でも?
チラリと私に目をやる学園長は、少しおどけた様子で応える。
…いいえ、まさか。
この使い魔の事で校則のお話をしてから、寮分けをお願いするつもりでした。
ふん…寮分けはもうとっくに済んだぞ。
まさか、貴方!
寮分けまでしたんですか?!
勢いよくこちらに振り返った学園長に私は黙ってコクコクと頷く。
それでだな、学園長。
この新入生、魔力が無いからどの寮にも相応しくないーって言われちまったんだ。
誰に?
闇の鏡に、に決まってるじゃないすか。
何ですって?!
性別はまだしも、魔法が使えない人間を黒き馬車が迎えに行くなんてありえない!
性別?
コッホン(咳払い)…何でもありません。
とにかく、生徒選定の手違いなんてこの100年、1度も無かったはず。
一体、何故…?
(モゴモゴ…)ぷはっ!
学園長が押さえていた手を払い、真下の床に着地したグリムが私を指さして言う。
だったらその席、オレ様に譲るんだゾ!
!
そこのニンゲンと違ってオレ様は魔法が使えるんだゾ!
だから代わりにオレ様を学校に入れろ!
腕組みをして堂々と宣言する、グリム。
かと思えば、ニヤリと悪い笑みを浮かべた。
魔法ならとびっきりのを今見せてやるんだゾ!
みんな伏せて!
『ザワッ!』
周りの生徒がざわついたかと見えた瞬間、
グリムの唸り声と共に、あの青い炎がゴオォォッと音を立てて広間内に大きく広がった。
おおっと…
『ヒョイッ』
隣に居たターバンの男が私の腹部に手を回して抱えると、
颯爽と炎を避ける。
危なかったな!
火傷は無いか?大丈夫か?
あ、はい!
無いです、けど…
なら、良かった!
それにしても軽すぎないか?ちゃんと食べてるか?
え、えぇっと、
ジャミルの飯は最高なんだぜ!
今度食わせてやるよ!
「はははーっ!」と太陽の様な笑顔を見せる彼に圧倒される私。
カリム、その新ジャガを守ってもアンタが燃えてたら意味無いじゃない!
えっ?!…って、うわあ!!あちちちっ!尻に火が!
気づいた私が尻部分が燃えている彼の火を消そうとすると、
今度は学園長に手を引っ張られる。
貴方は私の傍に居て下さい、良いですか?
くれぐれも離れないように!
で、でも、ターバンの生徒さんが!
良いですから!
学園長は私を学園長の背の方に追いやってしまうと、生徒に指示を出す。
このままでは学園が火の海です!
誰かあの狸を捕まえて下さい!
チッ…かったりぃな。
あら、狩りはお好きでしょ?
まるまる太った絶好のオヤツじゃない。
なんで俺が。テメェがやれよ。
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