第27話

床上レインリーク!
3,827
2020/09/05 17:00
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
では、私は荷物と夕食を取りに行ってきます。くれぐれもトラブルを起こさないように!
あなた
い、行ってらっしゃいませ…
ディア・クロウリー
ディア・クロウリー
あぁ、寝床も食事も用意してあげるなんて優しすぎるでしょう、私。
ホント、教育者の鏡ですよ。

『ギギギ…バタンッ』

学園長はそんな独り言を呟きながら空になったケージを持って、一人、学園へ戻って行った。
グリム
グリム
優しい奴は自分で自分のこと「優しい」って言わないんだゾ。

暫く経てば解ける魔法だったらしく、

グリムの首に嵌められていたハート型の大きな錠前は空気に溶けるように消え、

グリムは学園長との「暴れない」という約束の元、ケージからも解放して貰った。
あなた
錠前、外れて良かったね。
グリム
グリム
ちょっと苦しかったんだゾ。

首辺りを掻くグリムの隣で玄関のドアを見つめて立っていると、
嫌そうな顔で談話室の方へ振り向いたグリムが溜息を零す。

グリムが溜息を吐いた直後に土砂降りの雨が降り出した。

『ザァァアアア…』
あなた
グリム
グリム
…おい、
あなた
…あっ、何?
グリム
グリム
学園長待ってても仕方ないんだゾ。
いつまでオレ様をこんな埃っぽい所に居させるつもりだ?!
あなた
とは言っても、外に出るのは学園長に禁止されてるし、雨も凄く降ってるし…
グリム
グリム
なら、さっさと片付けるんだゾ!
あなた
うん、そだね。

グリムと共に再び談話室に来ると、まず散乱している動かせそうな家具を起こしては廊下に出した。

私が手で埃を払ったソファにグリムは腰掛けると、私が片付けをする様子をじっと見始める。

そんな事はお構いなしに、私は家具を廊下に出しては、盛んに埃を払う手を動かした。
グリム
グリム
オレ様はぜってぇ手伝わねぇからな!
あなた
え?あ、うん?
グリム
グリム
ぜってぇ手伝わねぇんだゾ!
あなた
そんなに強調しなくても分かってるよ。私がやるからグリムは休んでて。
グリム
グリム


(グリムは今日、色々な事があって疲れてるだろうし。魔法がどんなものかはまだ分からないけど、やっぱり体力消耗とかあるのかな?)


そう考えていると、
やはり『グリムは疲れているだろうから無理をさせてはいけない』という結論が出た。



『ピチョンッ…、ピチョンッピチョンッ…、ピチョンッーーー』

予想はしていた雨漏りが木床に水玉模様を次々に作り出し始める。


あなた
うわぁ、やっぱり雨漏りしてきちゃったかぁ…
グリム
グリム
ひぇあっ!
この雨漏りを何とかしねぇと、オレ様のチャームポイントの耳の炎が消えちまうんだゾっ。
あなた
それは大変。バケツ取ってくるね。

と、グリムが居る廊下を通ろうと振り返る。

『ツルッ』
あなた
へぁっ、

プリ小説オーディオドラマ