第19話

お試し休日デート
2,012
2022/09/08 23:00
清瀬くんの活躍もあって、今年の球技大会は私たちのクラスの男子が見事優勝した。

……やっぱり、運動神経のいい男子(特に好きな人)は、萌えが増すのだと改めて感じた次第です。
木下 ひより
木下 ひより
む、無理!
さすがに休日デートなんて!
長谷川 あおば
長谷川 あおば
大丈夫だよ!
最近2人、いい雰囲気だし
清瀬くんとお試しお付き合いを始めて、早いもので3週間が経った。毎日穏やかに過ぎていくものの、心のキュンゲージは振り切り、好きは募るばかり。

だけど……そんな生活もあと1週間で終わりを迎える。
清瀬 莉子
清瀬 莉子
私もいけると思う!
木下 ひより
木下 ひより
でも、休みの日に会うのって
なんか緊張するし……!
長谷川 あおば
長谷川 あおば
それがいいんだよぉ〜!
私服姿にドキドキ!
清瀬 莉子
清瀬 莉子
学校じゃ見れない
新しい一面にキュン!
長谷川 あおば
長谷川 あおば
そうと決まれば、ほら!
すぐにメッセージ送って
木下 ひより
木下 ひより
え、今!?
そんな、無理だってば〜〜
清瀬 莉子
清瀬 莉子
いいから、はーやーく!
急かされるまま、メッセージを打ち始めた右手は緊張から震えている。

【今度の土曜日、一緒にどこか出かけませんか?】
***

デート当日。

【いーよ、どっか行きたいとこある?】

あの日、清瀬くんから届いた返信が優しくて、勘違いしそうになる心に慌ててブレーキをかけた。
清瀬 律
清瀬 律
あーー、まだ目回ってる
木下 ひより
木下 ひより
ごめんごめん!
ちょっと回しすぎちゃった。
大丈夫?何か飲み物、
清瀬 律
清瀬 律
んーや、少し休めば大丈夫!
それより見て!
飲み物を買いに向かおうとする私を引き止めた清瀬くんの顔が、パアッと輝く。
木下 ひより
木下 ひより
え?
清瀬 律
清瀬 律
お化け屋敷だって、入る?
木下 ひより
木下 ひより
え、
ニヤッと口角を上げる清瀬くんに、今度は私がヒィッと小さく悲鳴をあげた。
***
清瀬 律
清瀬 律
あー、最高だった〜
木下 ひより
木下 ひより
もう二度と入りたくない〜〜
清瀬 律
清瀬 律
俺も久しぶりに怖かった〜
木下 ひより
木下 ひより
嘘!ずっと隣で笑ってたくせに
清瀬 律
清瀬 律
ヒヨコずっとこの世の終わり!
みたいな顔してて面白かったなぁ
木下 ひより
木下 ひより
もう、後半の記憶はない……
楽しげな清瀬くんの手は、お化け屋敷からずっと私の手を優しく握りしめている。

……いつまで繋いでいてくれるんだろう?
出来るならずっと、このままがいいな……なんて。

口にはできないから、もう少しだけこのままで、とこっそり心の中で神様にお願いした。
清瀬 律
清瀬 律
な、やっぱ最後はあれ
……乗っとく?
木下 ひより
木下 ひより
……え?あれって、
***

ドキン、ドキン、ドキン。

今まで感じたことないくらいの緊張感と、聞いたことないくらいの心臓の音。
清瀬 律
清瀬 律
うわ、高ぇ〜
木下 ひより
木下 ひより
……っ、
清瀬くんの提案で乗り込んだ観覧車。
よく聞く、頂上でキスした2人は……なんてジンクスが頭をチラついて清瀬くんをまともに見れない。

しかも、あとから乗り込んだ清瀬くんが座ったのは、あろうことか向かい側……ではなく、私の隣。
清瀬 律
清瀬 律
ヒヨコ?
木下 ひより
木下 ひより
ひっ、
清瀬 律
清瀬 律
どした?
さっきから口数少ないけど。
もしかして、高いとこダメだった?
木下 ひより
木下 ひより
あ、ううん!
そうじゃなくて、
ち、近すぎて……!心臓が、もたない!
清瀬 律
清瀬 律
あ、てっぺんだ。
……よし、ほら!
これなら見えないし怖くないだろ?
木下 ひより
木下 ひより
───!?
ふわっと、私を包み込むように抱き寄せた清瀬くんに心臓は一段と早鐘を打つ。

耐えかねて顔を上げれば、
木下 ひより
木下 ひより
……!
私を抱き寄せたまま、優しく見下ろす清瀬くんの澄んだ瞳と視線が絡んで、息が止まる。

そのまま、ゆっくりと近づく清瀬くんの整った顔に、どうしていいか分からなくて、思わずギュッと目をつぶった。


ど、どうしよう……咄嗟に目をつぶったせいで、目を開けるタイミングが分からないまま、どんどん時間だけが過ぎていく。

清瀬くん、今どんな顔してるんだろう?
清瀬 律
清瀬 律
……っ、
係員
はーい、到着です!
ご搭乗、ありがとうございましたぁ
木下 ひより
木下 ひより
───!?
係員の声にハッと我に返れば、隣の清瀬くんは既に観覧車から降りようとしているところだった。

……び、びっくりした。
キス、されちゃうかと思った。