自然体験学習から1週間。
今日は私も清瀬くんもバイトなので、放課後、バイト先のコンビニへ続く並木道を一緒に歩いていた。
久しぶりにシフトがかぶったので、ひっそり楽しみにしていたのだけれど、
清瀬くんがとんでもないことを言い出すから、私の心臓はソワソワ落ち着かなくなってしまった。
何だか、意外だ。
莉子ちゃん以外の女の子にはとことん興味がないんだと思っていたから、清瀬くんが彼女を作る日なんて来ないと勝手にどこかで安心していた。
え、なに?聞き間違い?
今、彼女にするならヒヨコがいいって言った!?
……なるほど。
なんか、虚しくなってきた。
つまり、清瀬くん……私のこと本当に眼中にないんだな。私が清瀬くんを好きじゃないことを前提に、私と"付き合う練習"をしたいってことね。
……ダメだ、自分が惨めにすら思えてきた。
少し前の私だったら、もしかしたら今の状況を喜んだのかもしれない。
だけど、今の私はもう……こんな理由で付き合えることになったって嬉しくない。
勢いよく早口で言い終えて、清瀬くんの驚いた顔を見た瞬間、ハッとする。
やってしまった……と、ヒヤリと嫌な汗が背中を伝ったとき───。
真っ直ぐ私を見つめる清瀬くんに、心臓がフワフワとどこかに飛んでっちゃいそうな感覚。
……ど、どうしよう。
いつか、伝えられる日が来たらいいな〜なんて思っていたけど、こんなに早くその日が来るなんて。
あぁもう、に、逃げ出したいっ!!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。