第16話

お試し放課後デート
2,775
2022/08/18 23:00
あぁ、どうしよう……。

私、木下ひより。17歳。
生まれて初めての放課後デートがスタートしました。
清瀬 律
清瀬 律
ヒヨコ?
木下 ひより
木下 ひより
は、はい……!
清瀬 律
清瀬 律
待って、
俺より緊張すんのやめてよ
木下 ひより
木下 ひより
ご、ごめん……
実は私も放課後デート初めてで
って言うか、デート自体初めてだし。
もちろん、彼氏だっていたことない……。

そりゃ緊張するよ〜〜。
しかも、デートの相手は絶賛片想い中の清瀬くん。
清瀬 律
清瀬 律
……!
だったら、なおさら楽しまないとな
木下 ひより
木下 ひより
う、うん!
元はと言えば、莉子ちゃんの『恋人といったら、まずは放課後デート!』なんて言葉に乗せられたのが始まりなのだけれど。

清瀬くんのことが好きだと知られている分、こうして2人きりというシチュエーションは嬉しくもあり、恥ずかしくもある。
清瀬 律
清瀬 律
……繋いどく?
木下 ひより
木下 ひより
え、
清瀬 律
清瀬 律
デートって手ぇ繋ぐイメージだったから
嫌なら全然いいんだけどさ
木下 ひより
木下 ひより
つ、繋ぐ!
「ん、」と差し出された手に自分の手を重ねる。ただそれだけなのに、こんなにドキドキする。

あぁ、まずい。
緊張がMAXすぎて、手汗が……。
***
木下 ひより
木下 ひより
あ、ずるい!
清瀬 律
清瀬 律
よそ見する方が悪い!
近所のゲーセンで一通り遊んで、最後にエアホッケーをやることになった私たち。
ズタボロに負かされるのが悔しくて、3回目を挑んでしまったのだけれど。
木下 ひより
木下 ひより
も〜っ、また負けた!
結果は変わらず、私の負けだった。
清瀬 律
清瀬 律
ヒヨコ、守備が弱すぎ。
絶対俺には勝てないよ
ニヤリと口角を上げてドヤ顔する清瀬くんに、そりゃそんな顔されたら勝てっこないよ……と心の中で思う。
***

まだ、夢を見ているみたい。
隣を歩く清瀬くんがいて、その清瀬くんが私の彼氏で、放課後にこうしてデートしているなんて。
木下 ひより
木下 ひより
おいしー!
清瀬 律
清瀬 律
……フッ、
木下 ひより
木下 ひより
え?なんで笑ってるの……?
もしかしてクリームが
口についてるとか言う?
たまたま見つけたクレープ屋さんで、清瀬くんが買ってくれたクレープを、近くの公園のベンチに座りながら頬ばれば、

それを見た清瀬くんが小さく笑った。

あわてる私を見て、なおも楽しそうな清瀬くんにますますわからなくなる。
清瀬 律
清瀬 律
いや、そうじゃなくて。
すげぇ美味しそうに食べるんだなぁって
ちょっと、可愛くなっちゃって
木下 ひより
木下 ひより
か、かわ!?
清瀬 律
清瀬 律
なんか、正直さー。
ヒヨコが俺のこと好きだって
言ってくれたときは、
こうしてお試しで付き合うのは、
なんか違うなって……
清瀬 律
清瀬 律
あんま気乗りしてなかったんだけど
木下 ひより
木下 ひより
そ、そうなんだ……
清瀬 律
清瀬 律
だけど、隣で笑ってるヒヨコ見てたら、
「あー、これが彼女の良さか」
って、ちょっと分かったかも
木下 ひより
木下 ひより
……ほ、ほんと!?
清瀬 律
清瀬 律
うん。だから、
ヒヨコがいやじゃなかったら
もう少しこの関係続けたいな
木下 ひより
木下 ひより
もちろん!
あわよくば、私の方に気持ちが向いてくれたらいいなって、思わないって言ったら嘘になる。

だけど今はそれ以上に、こうして笑い合える清瀬くんとの距離を、ただただ大切にしたい。