第25話

対面
186
2022/02/05 21:47
* * *


看護師さんに案内され、男性の様子を見に行ったが、男性がいたのは集中治療室。
病院側では詳しい原因はまだ不明となっているようだが、予想以上に症状は深刻なようだ。
あなた
あなた
(心臓より脳の方が大分ダメージをくらっていると言っていたな。看護師さんが。男性がいつ目覚めるのかも分からないし……。どうしたものか)
病院側に私の連絡先を教えたら、後から警察が聞き込みに来るかもしれないので、少々渡しづらい。
依頼とはいえ、ただの探偵が“クスリ”について探り、嘘をついてまで男性の知人として病院に来たのだ。それを考えると、面倒な事になる。
何より、調査を止められてしまう可能性も高い。
あなた
あなた
(取り敢えず、今日は引き返そう)
そう思って廊下を歩いていると、目の前からは雛河執行官と似た雰囲気の人と、ギノのクリソツさんがこちらに向かって歩いてくる。
二人の横を通り過ぎた瞬間、私はピタッと足を止め、振り返った。
あなた
あなた
(いや、“クリソツ”じゃなくて、まさか……)
あなた
あなた
ギノ……?
聞こえるか聞こえないか程度の小声で名前を呟くと、見覚えのあるコートと片手に手袋をした男性が目を見開きながら私の方を向いた。
宜野座伸元
宜野座伸元
あなた、か?
雰囲気が雛河執行官に似てる男性は「どうかしたんですか?宜野座さん」と確かにギノの苗字を呼んだ。ギノはどうしようかと言わんばかりの表情で私と男性を交互に見るも、「悪い、あなた。話が終わるまで待ってくれないか」と言って、もう一人の男性と再び何処かへ行ってしまう。
またもや予想外の展開に、この私でさえぽかんと立ち尽くしてしまう。
あなた
あなた
ほ、本当に本人なのか?
私は自分の現在の姿を思い出し、ハッとする。
同僚が居ると分かった今、すぐにでも化粧を落として着替えたい。せめて化粧だけでも落としたかったが、そうなると服が若干リッチ過ぎて違和感が出るだろう。
あなた
あなた
(待ってくれと言われたし……。
なんでよりによってギノが?けど……)
久しぶりに見知ってる人物に会えて、安心したのと同時に、仲間に会えたのだと嬉しさを感じた。
あなた
あなた
(話したいこと、まとめておかないとな)

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