隣で笑う伏黒くんを見ながら、私は付き合った日のことを思い出していた。
私が告白したとき、彼は悲しそうな顔をして、
「ごめん、おれあなたとは一緒にいれない。」
と断った。
「俺さ、なんつーか、危ない仕事につくんだよ」
『危ないって?』
「詳しくは言えないんだけど、怪我も当たり前にするだろうし、死なないとは言いきれない」
「一緒にいたらあなたを危険に巻き込むことになる」
『それがどうしたの?』
私は言い放った。
彼は驚いた顔をした。
『だから、仕事が危ないから何とかって、そんなの私に関係ない』
「関係ないって、でも俺はあなたを巻き込むのが嫌で、、」
『私はそうやって壁を作られる方がよっぽど嫌』
「おれだってあなたと一緒にいたいけど、それでもしあなたに何かあったら俺は責任とれないし、」
『ねー伏黒くん』
『わたし、怖くないよ』
「…何が?」
『伏黒くんの仕事のことは分からないけど、伏黒くんと一緒にいれるなら、私は何があっても怖くない』
「でも、」
『天国でも地獄でも、どこまでもお供しますよ、伏黒くん』
そういうと伏黒くんハーっとため息をついて、
それから私の顔を見て、微笑んだ。
「あなたにはかなわないや、」
「これからも俺の隣にいて欲しい。付き合ってください」
『はい!』
その日の帰り道、
『なんか論破して無理やりみたいになっちゃった』
「ほんとだね」
2人で顔を見合わせて笑った。
最高に幸せだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。