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第4話

二度目のあの感覚が...
ああ。

まただ。


この感覚は前にも一度、味わったことがある感覚だ。


担任に言われた一言に対し、俺はそんなことを思っていた。

何故かって?

それは、俺が親を亡くすのは二度目だからだ。

俺は小学6年生の頃、交通事故に巻き込まれ、母を亡くした。────────




太陽が照りつける、暑い夏のことだった。

父は仕事柄、日本にいることは滅多になかった。

特に夏休みなんかは父の仕事が繁忙期であったため、夏休みは母と俺の2人だけで過ごすことが毎年恒例のことだった。

夏は暑くて外に出る気が失せる。

友達と遊びに行く時以外は、涼しい家の中でのびんり母と過ごしていた。

だが、家にいる時間も長く、それが毎日のように続けばもう、家の中でやることは尽きてしまった。

そんな訳で母は俺を連れ出し、少し離れた田舎の祖母の住む家に向かった。

生まれた時から都会に住んでいた俺は、逆に祖母の家が羨ましくて、それはもう行きたくて行きたくて、仕方がなかった。

裸足で草むらを走り回って、冷たい水が流れる川で足を冷やし、祖母の家の畑の野菜を自分で採って食べる。

自分の家に住んでいては出来ない経験が、祖母の家では何もかも許され、自由にできるのだ。

俺は祖母の家に遊びに行くのが楽しみで、胸をむくらませて母の車に乗り込んだ。



冷房の効いた、涼しい車の中で目の前の上方に連なっている3つの電灯が、

赤色から青色に切り替わのを待っていた。



車のフロントガラスの先の方で、丸い青色ランプが点灯した。


俺は早く祖母の家に行きたいと、ひたすらまっすぐと前を見ていた。

きっと母も同じ気持ちだったのだと思う。


俺を含め、母は右から近づいてくる車に気づかなかった────────。







鉄がへこむ音、ガラスが粉々になる音、擦れて火花が散る音、それらを全て同時に含んだ

なんとも形容しがたい大きな音が、生まれて初めて聞く衝突音が、

頭の中に響き渡った。

その頭も思いっきり横から殴られたように揺さぶられ、──今だから分かるが──脳しんとうを起こしていた。



それからの記憶はほとんどおぼろげだ。

記憶に焼き付いているのは真っ白な部屋と、

ベットの上に横たわる真っ白な布を被せられた、

真っ白な顔の母。

全てが白い空間の中で、父の紺色の制服姿が異様に浮いていて、さらに記憶に鮮明に残っていた。


父が顔を覆い、その表情が見えない中、瞳から雫がこぼれ落ちた時、母がもう二度と俺に笑いかけることが無いのだと

ようやく気づいたのだ。








そしてまた担任から告げられた言葉を受け、

俺はその時の絶望感を思い出し、

デジャヴだと感じていた。

ああ。

またこの絶望が、

俺には一体何度訪れるのだろう。


俺はただ、この感覚が呼び起こす衝撃を、必死に足に力を入れて踏ん張っていた。


気を失って倒れないように。

あの時の父のように何かをこぼしてしまわないようにと────。

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りょくちゃ
りょくちゃ
学生です 2年ほど前に学校で作文した時に小説ジャンルで受賞し、市内の文集に掲載されたのがきっかけで小説に興味をもちました。 趣味程度で書いています。 ハピエン、シリアス、ミステリー、サスペンス、恋愛、BL、GL、アニメ(少しですが)など色々読むので、様々なジャンルを書いていけたらいいなと思います。 アドバイス、感想などコメントして頂けると非常に喜びます笑 誤字脱字、言葉の使い方が間違っている、批判的なご意見でもコメントして頂ければ幸いです。
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