朝から抱きついてきたのは
実の弟の紫桜。
朝から元気な奴だ。昨日会った人とは真逆の人。
笑って聞くことしか出来ない
だって,当の本人俺のところにいたから
笑って聞いていると紫桜はふと呟く
そう言い合っていると,下の部屋から父親と母親が怒鳴りそうだったのである程度のところで辞めると紫桜は小声で歌い出す。
正直俺より紫桜の方が上手いと思うんだがな…それを言ったら絶対言い返してくるだろうし…やめとくか。
そーゆーのってめんどいし。嫌い
めんどくさいのは大嫌い。
人間も大嫌い
家族,弟以外は…ほぼ無理。
だから学校にはほぼ行かない。
だって嫌いな奴らしかいないあんな所に行く必要ない。
次の映画のキャスト名簿を見ていた紫桜はいきなり声を上げるから
俺は隣からキャスト名簿を覗いた
隣で騒ぐ弟の言葉が右から左へ流れる
色と蓮は大丈夫だ…何度も共演してるから……2人の上手さは誰よりも知ってる…見てきてる…
だけど!!あの二人?!無理無理っっ!
脳内の葛藤を他の誰よりも知らない弟は隣ではしゃぐ
そう言うと俺は部屋を出る。
『声凄い綺麗だったよ。』
それだってその場の雰囲気で言った。
それだけの事だ。心の中じゃ,『汚い声』そう思ってる。そう思いながらテレビをつけた。
今日やってるドラマとってもいい話なんだよな…失恋物だったけ?
そう思いながら見てると聞いたことのあるの声が聞こえる
(彼女役)あなたと…貴方と歩みたいの…ポロポロ
(彼氏役)済まない……
ドラマのワンシーン……
優しい声…そしてイケボで切なそうに呟いた男の人の表情には憂いが帯びていた。
相手役は…たしか…黒木愛梨…凄い美人で優しい声…なんだよな…
そう呟いた。
小さい頃からこの声容姿,全てが大嫌いだった。
小さい頃の痛みがずっと…ある
そう思ってふとキャスト名簿に目がいった。
─パタンっ…
俺は静かにキャスト名簿を閉じた
''憧れている人とおなじ映画に出れるんだ少しでも練習しなきゃ。
そう思い,俺はいつもの練習の場に向かった
そう名前を呼ぶと,呼ばれた本人達は蔓延の微笑みを見せる。
こいつら……2人は一応俺の高校の同級生なんだよな……
大嫌いの部類に入るわけはなくまぁ……普通の部類だな……
悪ふざけする仲だから
そんな嫌ってはないけどな…
あいつがどう思ってるか謎だけど
いや……見てるだろ
ま、いいか。見てないなら明日逢えるだろ
数学…やりたくねぇ……
俺達は明日の約束して別れた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!