──翌日──
『(昨日任務だったから、頭痛いし眠い……。)』
今は午前中の授業だが、特に変わったことは無い普通の高校の勉強をしている。
天鬼は昨日稽古がおわった後、任務が立て続けに入ってしまい、寝れなかった。
そのため、こうした授業の際に寝そうになっているのだ。
カクッ……カクッ
『(勉強は済んでるし大丈夫だけど、一応ちゃんと受けなければ……。)』
そう考えても、天鬼の瞼は閉じるばかり。
「(天鬼さん、寝そうになっとるなぁ…。)」
授業の合間に、麗日はそんなことを考えていた。
そして、天鬼は寝た()
昼を挟んで、これからはヒーロー基礎学と言うものをやるらしい。
「わーたーしーがー……」
「来っ」
「普通にドアから来た!!」
『(うるさ。普通にドアから来るなら静かに来い。)』
廊下から聞こえた声の主は、"オールマイト"。現代社会のヒーローという職業において、No.1を誇る人物だ。
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う科目だ!」
「早速だが、今日はコレ!!戦闘訓練!!」
オールマイトが、"BATTLE"と大きく書かれた紙を前に突き出して言った。
『(戦闘訓練……稽古みたいなものかな。)』
"戦闘訓練"
そのいかにもヒーロー科らしい響きに、クラスが盛り上がる。
「そしてそいつに従って……こちら!」
「入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえた、戦闘服!!」
「コスチューム…!!」
『ふぁぁ……。』
盛り上がる皆を尻目に、天鬼は大きな欠伸をする。
昼を挟んだと言っても、起きたのはつい先程なのだ。
「着替えたら、順次グラウンド・βに集まるんだ!!」
そう言ってオールマイトは教室から出ていった。
それに次いで、クラスから続々と人が出ていく。
天鬼は持っていた刀を包んだ布からもう1つ、対ヴィラン用の木刀を持って、更衣室に向かった。
「格好から入るってのも大切なことだぜ、少年少女!」
「自覚するのだ!今から自分はヒーローなんだと…!!」
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。