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第1話

日常その1
1,299
2019/03/19 15:58






side. ym



裕「あっ、雨だ」


久々に二人で遊ぶ約束をした今日





降水率45%という微妙な空で




雲は重さに負けてしまい
雨粒がトントンと地面へと落ちてく。






「あぁ、降ってきちゃった…」





まだ家を出なかった俺達は
完全に外に出る気力を無くしてしまった。



時間はちょうど12時



元から食事に行く予定で

昼食でも作ろうかなと台所に立った。





すると窓際で外をじっと見つめてた
裕翔がトテトテと俺の後ろをついてきた


なんだと思った矢先、
いつの間にか手にしてた赤いエプロンを

後ろから抱きつく形で着付けてくれた




「…」



自然すぎるスキンシップに俺は
このイケメンが
と恨みつつ顔は正直に熟れて

赤く染まっていた



裕「あ、やま、照れてる?」




「うるさい」




「手伝わせてよ」


「やだ」



可愛くない照れ隠しで
裕翔をキッチンから追い出した。


そこからは冷蔵庫にある材料を切ったり炒めたり、あまり手間のかからない和風料理を三品と、それに合わせたスープも作った。


ーーーー






裕「っ!美味しい!」



パクパクと口いっぱいに頬張る君を見て
自然と心が温まる


「誰も取らないからゆっくり食べなって」



せかせかと食べてる君を安心させるように
お母さんみたいな言葉を発してしまった



「ははっやま奥さんみたい」


あ、いや、俺の嫁か。
何て真顔で言うから
アホかと、返した。


正直のところ奥さんという響きは悪くないと思っている。

なんて、多分目の前にいるこの人には
絶対に言わないだろう。








だけどやっぱり




その気持ちを、
好きでいてくれているその気持ちを

日々、途切れなく俺に伝えてくれる君は


いつも俺を贅沢な気持ちにさせてくれる。



素直じゃない性格も

君にかかれば
甘すぎるんじゃないのかってくらい
顕になってしまう心



目の前にいる君が愛おしい





やっぱり雨も捨てたもんじゃないね



バカップルみたいな発想を心の中にしまう。






最近はお互いが忙しく

会えない日が長々と続く。



裕翔不足でどうにかなってしまうと思った…




大げさすぎるこの考えも

多分どうしょうもないくらい
あなたが好きな故。




だから、こうして

「こうしてヤマとのんびりできる時間、すっごく幸せ」



言葉を放しは君は
優しい目で俺を見ながら


雨もいいねと微笑んだ。






同じことを考えてたんだ


そんなこと思ってたら
自然と口角が上がってしまった。




裕「…ニヤニヤしすぎ」



まじまじと俺の顔を見ながら

甘々な口調でその言葉を放てば

いつの間にか近くに来た君が
白くてきれいな手で俺の頬を撫で




その唇を重ねてきた。




軽く触れるだけのキスなのに

そうだと思えないくらい
心地がいい


「ん…」



感触が遠ざかって
まだはっきりと顔が見えない距離で
裕翔のきれいすぎる瞳がはっきりと見えた


「…」


その瞳に見つめられると
何もかも見透かされるみたいで
ついそらしてしまう



だけど一回じゃ足りなくて
また視線を戻した




裕「…続きは片付けてからね」


「…うん」



なんて、
…自分がまるで「まて」と言われた

犬みたいだ。



年下のくせに
小悪魔なところがしばしば見当たる。






そうこうしてる間


時刻はもう既に4時を回っていた。




遅くもなければ早くもない、
微妙な時間帯だ。



一緒に食器洗いも済ませて

やっと一段落ついた。




裕「ヤマお疲れ様」





テーブルの整理を任せた裕翔は
早めに終わっててリビングでくつろいでた




胡座をかいてる裕翔が太腿をポンポンと叩き
おいでと合図をする


犬じゃねーよ、何て思いつつ



裕翔のそばへ駆け寄った。





《NeXT Side.yt》

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