前の話
一覧へ
次の話

第4話

第3話
28
2019/06/23 06:54
同日午後3時
墓地の最寄り駅で降りた冬華と夏希は、駅近くのカフェで少し遅めの昼食を摂ると、特に寄り道することもなく真っ直ぐと墓地へ向かった。
すると、前から来た2人が冬華と夏希に声をかけてきた。
秋人の母
あら?もしかして、冬華ちゃんと夏希ちゃん?
夏希
夏希
あっ、お母さん。こんにちは
冬華
冬華
ご無沙汰しています。もう終わったんですか?
秋人の母
ええ、私と主人はもう挨拶は済ませてきたわ。2人はこれからかしら
夏希
夏希
はい、ホントならはるも来るはずだったんですけど...
秋人の母
春斗くんは秋人と一番仲が良かったからね。彼も辛いのでしょう...
冬華
冬華
今日は、はるくんの分までしっかりお墓参りしよ、なっちゃん
夏希
夏希
そうね
秋人の母
じゃあ、私たちはこれで失礼するわね
冬華
冬華
はい、また今度
こうして秋人の両親たちと別れたのだが、すぐに、後ろから秋人の母親から声をかけられたので振り向く。
秋人の母
そうだ、今度3人で来てくれないかしら。秋人の遺品から手紙が出てきね。3人に宛てて書いてあるものもあったの
夏希
夏希
わかりました、はるにも伝えて今度3人で行きますね!
そう言って、冬華と夏希は秋人の墓を、秋人の両親は駅の方を目指して歩いていく。
歩くと言っても対した距離ではないので秋人の両親と別れてから1分程度でついた。
冬華
冬華
なっちゃん、あれ持ってきた?
夏希
夏希
当たり前でしょ!忘れたらあっきーに怒られちゃうよ
笑い混じりで話す夏希が持っていたバックから出したのは、コンビニのお菓子売り場でよく見かけるような袋だった。袋には大きく「コンペイトウ」と書かれている。
冬華
冬華
あっきー、これ好きだったよね
夏希
夏希
そうそう、裏山行っても、公園で遊んでても、もちろん家に遊びに行ってもあったね
冬華
冬華
私、今でも勉強中の糖分補給は金平糖だよ
そんなに話をしながら、金平糖をさっき秋人の両親が置いていったであろうジュースの缶の横に置く。2人は合掌する。
冬華
冬華
(あっきー、もう今年で10年経つんだよ。私たちは高校2年生になって、来年には大学受験なんだ。ちゃんと見守っててね。)
夏希
夏希
(あっきー、元気にしてる?ウチらはみんな元気だよ。あっきー見えてる?ウチ髪の毛金髪にしたんだ。どう?似合うかな。)
そう心の中で呟くと秋人の墓をあとにする。
冬華
冬華
あっきー、また来るね!
そう言って2人は墓地を後にするのだった。

プリ小説オーディオドラマ