第79話

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2021/03/15 07:38
テヒョンは、釜山にあるパクヨンサムの家の前にいる。
引退したとはいえ、厳重に守られており、
厳つい門番が立っていた。

インターホンに近づくと門番の男がテヒョンに近づく。
門番の男
若造が何のようだ。
テヒョン
テヒョン
キム・テヒョンと申します。
パクヨンサムさんのお孫さんのソンジェさんの事でお話があると伝えて頂ければ…
門番の男はどこかに電話をかけているようだ。
門番の男
おい、着いてこい。
そう言ってテヒョンを中へ案内する。
高い塀に囲まれたその家は豪邸で、
引退しているとは思えない程だ。

門番の男
お連れしました。
パク・ヨンサム
入れ。
テヒョン
テヒョン
失礼します。キムテヒョンです。
ソンジェさんと、ソンジェさんのお母さんの事でお聞きしたいのですが…
パク・ヨンサム
座れ。
なぜそれを知ってる?
テヒョン
テヒョン
調べました。
僕の大事な人がソンジェさんに連れ去られてしまってるからです
居場所を教えて下さい。
パク・ヨンサム
そこまでわかってるのか。
テヒョン
テヒョン
しってるんですか??
パク・ヨンサム
あぁ。ソンジェの事ならなんでも知ってるさ。
今どこで何をしてるか。
ずっと見守って来たからな。
テヒョン
テヒョン
教えて下さい!!
パク・ヨンサム
何の運命のいたずらか…
まさか、お前さんまで関わって来るとはな…
俺達も、先が短い…
してきた事の精算をしなきゃいけない年なんだ…
テヒョン
テヒョン
どういう事ですか!!!
パク・ヨンサム
俺はお前さんを知ってたよ。
どうして、スラムに捨てられたのかもな…
お前の父親も、ハヌルの父親も、
俺の抱えてた組の人間だった。
テヒョン
テヒョン
そんな事…
パク・ヨンサム
当時、芸能事務所をしのぎにしてる組が多くてな。
ちょうど、組同士の抗争が激化した時期だった。
お前の父親は頭もキレる優秀な男で、
俺の右腕として可愛がってた。
ハヌルの父親は組の構成員で、
お前の父親とハヌルの父親は親友だった。
テヒョンは思いがけない自分の話に戸惑う。
パク・ヨンサム
ソンジェの父親である男も元々はプロデューサーじゃなく、俺の組の人間だ。
俺の娘は芸能人を相手にする旦那を信じきれず、
嫉妬に狂った。
そして。そのせいで、あの事件が起きた。
テヒョン
テヒョン
あなたはそれを揉み消したせいで、
ハヌルが…
パク・ヨンサム
そうするしかなかった。
俺からすれば、自分の可愛がってる組員と娘を同時になくしたと同然だったからな。
ちょうど組同士の争いでどうにもならない時だったから、せめて子供達を守るのに、
スラムに隠しておくしか無かったんだよ。
テヒョンは言葉が見つからない。
パク・ヨンサム
お前さんの父親は俺の右腕だったから、
お前の母親とお前さんは必然的に狙われた。
母親も抗争に巻き込まれ、守りきれず命を落とした。
すまない…
テヒョン
テヒョン
・・・・・・。
パク・ヨンサム
冷静さを失ったお前の父親はかたきを取りに行って、
殺られたんだ。
それが相手の狙いだったからな…
そんな状態で俺の娘も、旦那殺しになるわ、
ハヌルの父親まで殺りに行ってしまって…
組の事で手一杯だった俺の出来ることが、
俺の可愛い組員達の子供達を隠すことだった…
テヒョン
テヒョン
そんなこと急に言われても…
パク・ヨンサム
ハヌルの母親は、自分の男が組員だったことは知らない。
だから、20年前の事の真相を知るのはこの世でもう俺だけだ。
自分の出生を知らされ同様を隠せなかったが、
ハヌルの行方がより心配になる。
テヒョン
テヒョン
今は…今はそんな事より、
ハヌルは??
ハヌルはどうなってるんですか??
パク・ヨンサム
命に別状ない…
テヒョン
テヒョン
命に別状はないって!!!??
ハヌルに何があったんです???
パク・ヨンサム
俺の抱えてる闇医者の所にいる。
自殺を図ったそうだ。
テヒョン
テヒョン
どこです!!!??
すぐに行かなきゃ!
パク・ヨンサム
まぁ待ちなさい。
俺も病気を抱え、先が短いんだ。
ちょうど真相を話すのにソンジェにもハヌルにも
会いに行くところだった。
着いてきなさい。
パクヨンサムは立ち上がり、テヒョンの前に土下座をし、
パク・ヨンサム
お前の両親を守りきれず、
お前にも辛い思いをさせて、



すまなかった…
風格のある男が涙を流し土下座する姿が
テヒョンには小さく見えた。
テヒョン
テヒョン
頭を…あげてください。
許すとか、許さないとかじゃない…

その世界に生きてた両親が選んだ場所での
生き方だったんでしょう…?

僕の命を助けてくれてありがとうございました。

それしか僕には言えません

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