第21話

21
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2021/02/21 20:38
ハヌル
ハヌル
あ、あの…僕…こんなの…初めてで…
あ…ありがとうございました!!
照れ臭そうにお礼を言うと、
リュックを掴んで、ゲストルームに戻って行った。
マリアヌナ(メイク&スタイリスト)
マリアヌナ(メイク&スタイリスト)
あの子、中性的だけど可愛いわね♪
メイクで全然かわれるのに…
男の子っぽくしてるのは、
理由でもあるのかしら?
テヒョン
テヒョン
ん?男の子っぽく?
男の子でしょ?
マリアヌナ(メイク&スタイリスト)
マリアヌナ(メイク&スタイリスト)
え?男の子?
テヒョン
テヒョン
うん!だって喧嘩は強いし、
ジミニの事、背負い投げしたんだよ!!
マリアヌナ(メイク&スタイリスト)
マリアヌナ(メイク&スタイリスト)
んーーー。
あたしが、間違えたりするかしら…

ま、綺麗な顔だから、男でも女でもどっちでもいいわ!
ーーーーハヌルsideーーーー

いつもハルモニが切ってくれていた髪。

数日前の自分が知らない世界。

ここは15階の高級マンション。

トタンと木と布で張り合わせて作られた家。


数キロの距離で世界が違う。

綺麗にカットされ、綺麗にファンデを塗られた顔。

それに似合わないジッパーの壊れたパーカーに、
使い込まれたリュック。

数分前に浮かれた自分が急に恥ずかしくなった。

あの男もあの男がが紹介してくれた仲間も、
さっきのマリアと呼ばれていた人も、
服も、身に付けてい物も良く、
場違いな自分がやたら滑稽に見えてきて、
自分がいるべき場所ではないことを突きつけれているようで、無性に九龍村スラムが恋しくなった。


ハヌル
ハヌル
貧乏人をからかって何が楽しいんだ…
九龍村スラムから抜け出せて嬉しい筈が、
かえって自分を惨めにさせるだけだった。

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