第2話

ネコみたいな彼女
127
2020/05/30 15:00
僕は咄嗟に走りだしていた。




『お~、すげぇ、怪我せずに済んだ。なに~?お前もしかして陸部?』
ぼく
ぼく
想像にお任せするけど、取り敢えず早く先生呼んできて。
おっけ~、と軽く答えて中澤は小走りで先生を呼びに行った。
ぼく
ぼく
にしても、びっくりしたー。


別に、熱中症というわけでもないし心臓が止まったわけでもなさそうだ。




中澤が言ってた通りだ。



本当に急に寝るんだ。



『せんせー呼んできた~』



先生
「あら、ありがとう。二人とも。高谷さんのご両親に御連絡しないといけ…。」


せんせー、あなた寝たって本当ですか?

知らない女子生徒が駆け寄ってきた。


先生
「あら、園田さん。そうなの。」
まりあ
じゃあ、あたしがあなたのお母さんに電話しますよ。寝たとき、いつも連絡とってるんで。
先生
「そうなの?じゃあ、頼もうかしら。」
まりあ
☎️…あ、もしもし。叔母さん?うん、あなた寝ちゃって。怪我?うん、多分してない。わかった~じゃあ、下駄箱のとこで待っとくね。
さらっと彼女の母親に電話を掛けた女子生徒はこちらを睨んできた。
まりあ
んで?あんた達は?誰?また、あなたに面白がって付きまとってるやつ?
先生
「違うのよ、園田さん。こちらの彼は、高谷さんが倒れたときに受け止めてくれたの。彼が受け止めてくれたから、怪我しなかったの。」
まりあ
んじゃあ、この金髪は?
『ひっで~言い様。俺にもちゃんと名前くらいあるし~。中澤悠希はるきだよ~、同じクラスなんだし、覚えてね☆』
まりあ
あなたを助けたっていう、あんた名前は?
ぼく
ぼく
……


『あ~、こいつ自分の名前好きじゃないらしくて名乗らないのよ、ごめんね☆まりあちゃん。』
まりあ
気安く下の名前で呼ばないでくれる。
あなたの母
「すみません、高谷あなたの母です。」
まりあ
あ、叔母さん!!あなたなんですけど…。



態度が僕らへの対応と真逆だな。


『まりあちゃん、ネコみたい。』




中澤も同じことを考えていたらしい。
まりあ
んで、なんかこの人たちがあなたが寝たときに受け止めてくれたらしくてそれであなた怪我しなかったらしいんですよ。
あなたの母
「本当に…?ありがとうね…!また、改めてお礼したいわ。連絡先教えてもらってもいいかしら。」



『いいっすよ~中澤って言います~。番号は…。あ、まあ僕に連絡してもらえたらこいつももれなく付いてくると思います~』


あなたの母
「わかったわ。本当にありがとうね。お礼はまた改めてさせてね。」
まりあ
叔母さん、あなた車に運ぶの手伝いますよ。


あなたの母
「あら、そう。ありがとうね。まりあちゃん。」




いえいえ、と言うとともに彼女は僕たちに向かって
まりあ
話したいことあるからそこで待ってて





といった。




『話したいことって何だろね~。俺ら殺されるのかな。』
ぼく
ぼく
殺されるのは普通にないな。



『え~そお?じゃあ、今度高谷に近づいたら許さないとかじゃね。』
ぼく
ぼく
まあ、それはないとも言えない。




だよねぇ~、と相変わらずケラケラ笑ってる。
まりあ
何が殺すよ、人聞きの悪い。




いつのまにか彼女が戻ってきてた。



『あっれ~。あなたちゃんのお母さんは。』
まりあ
もう帰ったわよ。



『あ、そうなの。んで、俺らに言いたいことってなに?』
まりあ
あなたのことなんだけど…



『近づくなって?』
まりあ
違うわよ、あなたは眠れる森の美女症候群っていう病気なの。倒れるように眠ったら、3日くらい起きないの。




眠れる森の美女症候群…。

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