『な~、お前さ '眠れる森の美女'って知ってる?』
『ちげぇ~よ!知らねーの?突然眠ったら起きねーんだって。高谷ってやつ。』
『お前ほんと、なんも知らねーんだな!高谷あなた。1年のとき、3組にいたやつ。』
『まっ、いいけど。クラス替え楽しみだな~!かわいい子いたらいーな~!』
4月6日。新学期。
桜舞い散る中で僕らは2年生になった。
バラバラバラ
クラス替えの紙が貼られた。
『お前何組~?』
『同じじゃ~ん!4組~』
中澤と教室に入る。
『お、おい!眠れる森の美女も同じだぞ』
『おう、高谷だよ。』
別に、眠そうじゃないけどな。
それが彼女に抱いた初めての印象だった。
そんなに、眠れる森の美女と呼ばれるほどずっと眠そうにしてる感じもなく、むしろ彼女は生き生きとしてた。
まさかの、彼女の横だった。
そういって、彼女はニッと笑った。
オリエンテーションが終わったので、帰ろうとしていると
『おい!待てよ~、俺とお前との仲だろ~?』
『そんなこと言うなよ~!ていうか、お前高谷と隣じゃん!』
ウケる~とケラケラ笑ってる。
『あ、おい。噂をすれば高谷じゃん。』
下駄箱に手を突っ込んだまま、突っ立ってる彼女がいた。
と、同時に彼女は後ろ向きに倒れた。倒れたと言うより、気絶したという方が正しいのかな。まあ、取り敢えず倒れたのだ。
『はっ!?やべ』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!