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第1話

眠れる森の美女
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2020/05/30 15:00
『な~、お前さ '眠れる森の美女'って知ってる?』
ぼく
ぼく
童話の?
『ちげぇ~よ!知らねーの?突然眠ったら起きねーんだって。高谷ってやつ。』
ぼく
ぼく
高谷…?
『お前ほんと、なんも知らねーんだな!高谷あなた。1年のとき、3組にいたやつ。』
ぼく
ぼく
クラス違うもん。クラスが違ったら、覚えてないよ。
『まっ、いいけど。クラス替え楽しみだな~!かわいい子いたらいーな~!』






4月6日。新学期。
桜舞い散る中で僕らは2年生になった。




バラバラバラ





クラス替えの紙が貼られた。






『お前何組~?』
ぼく
ぼく
4組だよ、中澤は?




『同じじゃ~ん!4組~』
ぼく
ぼく
また、1年間同じだな。よろしく




中澤と教室に入る。


『お、おい!眠れる森の美女も同じだぞ』
ぼく
ぼく
そんなに驚くほどのもんじゃないでしょ、8クラスなんだから、8分の1の確率でなる可能性くらいあるよ。
ぼく
ぼく
あの子が高谷あなたさん?




『おう、高谷だよ。』



別に、眠そうじゃないけどな。




それが彼女に抱いた初めての印象だった。



そんなに、眠れる森の美女と呼ばれるほどずっと眠そうにしてる感じもなく、むしろ彼女は生き生きとしてた。




ぼく
ぼく
あ、ここか僕の席。
あなた
あなた
あ、隣だね。よろしくね。




まさかの、彼女の横だった。
ぼく
ぼく
うん。よろしくね。
あなた
あなた
わたし、高谷あなた。キミは?
ぼく
ぼく
僕の名前?僕、自分の名前好きじゃないんだ。
あなた
あなた
ふーん、そうなんだ。じゃあ、キミくんって呼ぶね。



そういって、彼女はニッと笑った。


オリエンテーションが終わったので、帰ろうとしていると



『おい!待てよ~、俺とお前との仲だろ~?』
ぼく
ぼく
別に中澤とすごく仲がいいとは僕は思ってないけど。
『そんなこと言うなよ~!ていうか、お前高谷と隣じゃん!』



ウケる~とケラケラ笑ってる。




『あ、おい。噂をすれば高谷じゃん。』



ぼく
ぼく
ほんとだ。何突っ立ってるんだろ。



下駄箱に手を突っ込んだまま、突っ立ってる彼女がいた。



と、同時に彼女は後ろ向きに倒れた。倒れたと言うより、気絶したという方が正しいのかな。まあ、取り敢えず倒れたのだ。






『はっ!?やべ』

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