柊「速水」
速水『...』
柊「お前本当はそんなに強くないだろ」
速水『!』
柊「強がったって何も変わらないんだ」
速水『...黙って』
柊「お前は逃げたんだ...恐怖から」
速水『黙って!!』
速水はそう言って手に持っていた鞄を床に投げつけた
速水『じゃあどうすればよかったの!?
誰かにいじめ止めてくださいって言えばよかった?澪奈と話していればよかった?
そんなことしたっていじめなんて止められないし何にも変わらないでしょ!?
そもそもこんなことしたって今更何になるの!?』
そう大声でぶつけた後、泣きそうな声で言った
速水『今から何したってもう...澪奈は......帰ってこないんだよ...』
そこで今まで黙って聞いていた柊が口を開いた
柊「お前を、変えるんだよ」
速水『何言ってんの』
柊「周りに興味がなくて、いつも冷たい目で周りを見ていて...でも景山を見るお前の目はすごく優しかったじゃないか」
速水『...っ』
柊「落書きされた景山の机を綺麗に拭いてたじゃないか」
速水『!』
柊「でも景山は気付いてたぞ。お前がやっててくれてたこと」
速水『...っ!』
柊「景山がな、言ってたんだ」
"佑衣の笑顔を取り戻してあげてください。佑衣って本当は...すごく優しくて笑顔が可愛いから...
あっ...でも、モテちゃうな。みんなに(笑)"
速水『っ...なんでっ...』
柊「景山はお前の所為でなんて思ってなかったぞ
むしろ景山にとって大事な幼馴染でよく助けられてたって」
速水の頬は涙で濡れていた
柊「だから俺はお前を変えないといけないんだ。
もう...強がらなくていいんだよ
悪者にならなくてもいいんだ」
柊のその言葉に泣き崩れる速水
その速水の姿に涙を浮かべる生徒もいた。
そして諏訪は「佑衣っ」と涙を流しながら抱きついた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!