第9話

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2019/01/12 04:16
あれから何日か。
遂に足が動かなくなった。
手も…口も…何かも動かなくなるのかな。
となりの坂田。
となりの坂田。
手紙、書こうかな
大好きな仲間達に、最愛の恋人に。
そう思って思い思い手を伸ばし便箋を手に取った。
そして文字を綴り始める。




最愛の浦田さんへ___.
皆への手紙を描き終えると浦さんが遊びに来てくれた。
外は真っ暗なのに、大丈夫かな?
となりの坂田。
となりの坂田。
夜遅くにありがとう。
うらたぬき
うらたぬき
ん、気にすんな
林檎食べる?
となりの坂田。
となりの坂田。
ん!食べる!
うらたぬき
うらたぬき
はい
といってコトッと皿を置いてくれる。
少し甘えたい一心で言ってみる。
となりの坂田。
となりの坂田。
浦さん、食べさせて?
「自分で食え」って言われると思ったけど…
うらたぬき
うらたぬき
…ったく、はい。口開けて
となりの坂田。
となりの坂田。

あ~~~ん
うらたぬき
うらたぬき
美味い?
となりの坂田。
となりの坂田。
んぅ〜
おいひぃ!
うらたぬき
うらたぬき
良かった
少し悲しそうに微笑む浦さん。
なんか悲しいな。
うらたぬき
うらたぬき
そうだ坂田。
来る時星が綺麗だったんだ。
流星群が見れるらしいよ。
一緒に行こう?
となりの坂田。
となりの坂田。
うん!行く!
浦さんの補助もあってやっと車椅子に腰掛ける。
うらたぬき
うらたぬき
大丈夫?
となりの坂田。
となりの坂田。
ん、大丈夫〜
浦さんと世間話を交えてると、いつの間にか屋上にいた。
となりの坂田。
となりの坂田。
わぁ、星綺麗…ね、浦さん
うらたぬき
うらたぬき
ん……
隣のベンチに腰掛けて眺める浦さんの横顔は
すごく綺麗だったんだ。
この顔も後何日見れるかな。
この魅了する様な背丈の低い君を。
見とれてたら…
うらたぬき
うらたぬき
何?坂田
となりの坂田。
となりの坂田。
ん?可愛いなぁ…って
寂しいな、なんて思ってたのは内緒。
となりの坂田。
となりの坂田。
ねぇ、浦さん知ってた?
死んだ人ってね星になるんだって!
ロマンチックだよね
うらたぬき
うらたぬき
…!
そう、だね

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