第17話

君と過ごすクリスマス💍
6,254
2021/12/22 07:48
今日は12月24日。クリスマスイブ。

街はクリスマスムード一色だけど、私はいつもの日常と変わらない。

JYP練習生としてレッスンを受け、宿舎に帰宅する。

ああもう18時。クリスマスイブも6時間後には終わってしまう…。
フィリックス
フィリックス
ふわぁぁぁ
宿舎のリビングに入ると、部屋から出てきたフィリックスが大きなあくびをして伸びをしている。
フィリックス
フィリックス
あ!あなたさんおはよー( ´ ▽ ` )
あなた
あなた
お、おはよーございます。…ってもう夕方ですよ。
フィリックス
フィリックス
えっ(*゚∀゚*)もうそんな時間!?
あなた
あなた
どんだけ寝てたんですか。
フィリックス
フィリックス
へへっ(*≧∀≦*)
今日は一人だけ撮影も何も入っておらず、一足早く休暇に入った。

一人で休みだとわかると嬉しすぎて、朝までゲームをし、そこからずっと寝てしまったという事だそうだ。
フィリックス
フィリックス
あ!!!((((;゚Д゚)))
フィリックスが怯えたような顔で、大きな声を出した。
あなた
あなた
びっくりした!!ど、どうしたんですか!?
フィリックス
フィリックス
あわわわわ((((;゚Д゚)))
あなた
あなた
ま、まさか…本当はお仕事のスケジュールが入っていたとか!?ですか!?
慌てようが尋常では無かったので、仕事に穴を空けてしまったのではないかと、私までも変な汗が滲み出てきてしまった。
フィリックス
フィリックス
今日クリスマスイブだよ!!
あなた
あなた
はい!!やっぱりお仕事が!?
フィリックス
フィリックス
ううん。休みなのは本当。
それよりも、何にもできてない!!!
あなた
あなた
お仕事無いんですね…良かった…
とりあえず一安心だと、力が抜けた。
フィリックス
フィリックス
全然良くないよ!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
私の肩を持ってガクガクと揺さぶる。
あなた
あなた
あわわわわ
フィリックス
フィリックス
クリスマスイブなのにもう夜だなんてー!!!
あなた
あなた
え…
フィリックス
フィリックス
見てよ!この部屋!何も飾られてない!!
あなた
あなた
そ…そうですね…
フィリックス
フィリックス
。゚(゚´ω`゚)゚。今日は僕だけ休みだから、クリスマスの準備しようと思ってたんだよー!
あなた
あなた
手伝いましょうか…?
フィリックス
フィリックス
いいの!?(*⁰▿⁰*)
ぱぁーっとフィリックスの顔が明るくなる。
こんなに表情がコロコロ変わって、本当にフィリックスって可愛らしい。
フィリックス
フィリックス
二人なら百人力だね!!
あなた
あなた
そ…そんなにパワーは上がらないと思いますが
フィリックス
フィリックス
いいのいいの!では早速、倉庫に行こう!!
宿舎には、6畳程の広さのウォークインクローゼットがある。主にメンバーの季節物の服がしまってあるそうだが、使わなくなった機材なんかも置いてあった。

クリスマスツリーといった季節物は上の棚の奥の方にしまってあるようだった。
フィリックス
フィリックス
去年も僕が出して片付けたから、場所はわかってるよー。
届かない上に、誰かの私物の入った段ボール箱も置かれて、すんなり取れない。
フィリックス
フィリックス
ちょっと脚立出すね。
五段ほどの脚立を出し、さっと登る。
段ボールをずらし、ツリーの入った箱を手に取った。
あなた
あなた
受け取りますよー!
フィリックス
フィリックス
そんなに重くないから大丈夫だと思うけど…
そういって私に渡そうと箱を引き出した。

思ったよりも箱は長く大きい。

私の手では抱えきれない大きさの箱だった。

でも重くは無いので何とかなりそうだった。
フィリックス
フィリックス
大丈夫?
あなた
あなた
はい!重くないので大丈夫ですー
しっかりと受け取ったのを見届けて、フィリックスが手を離す。

ぐらっ…

思ったより重かった!

フィリックスがほとんど支えてくれていたのだと気がついた時には遅く、私はバランスを崩してしまった。

斜めになった箱が、上にずらした段ボールにぶつかる。

不安定に置いてあったようで、段ボールが上から私を目がけて落ちてきた。
フィリックス
フィリックス
危ない!!
落ちてきた段ボールは衣類が入っていたのか軽かったようで、フィリックスが腕で弾いて避けた。

が、バランスを崩し脚立から落ちてしまい私に覆い被さる。
あなた
あなた
キャッ!!
床に倒れる私。
ツリーの入った箱と、その上にフィリックスが重なる。
フィリックス
フィリックス
ごめん!!大丈夫!?
すかさずフィリックスは起き上がり、下敷きになった私を助けようと、まずはツリーの箱をどかした。
フィリックス
フィリックス
頭打たなかった?
心配そうな顔で覗き込む。
あなた
あなた
頭は…ぶつけて無いです…
フィリックス
フィリックス
起き上がれるかな…?
私の背中に腕を回し、起き上がるのを手伝う。
フィリックス
フィリックス
どこか痛い所は?
あなた
あなた
尻餅ついたのでお尻と、ツリーの箱の重さで倒れた時に打った背中がジンジンするくらいですかね。
フィリックス
フィリックス
お尻!?わ…触れられないので、背中摩るね…
大丈夫?触れると痛い?
あなた
あなた
ちょっと…痛いですね…ヒリヒリするので擦りむいたかも…
フィリックス
フィリックス
え!?ごめんね本当に!!!
あなた
あなた
大丈夫です。大した事ないです。
フィリックスがすごい心配そうな表情を浮かべるので、これ以上心配かけさせまいと笑顔を見せた。
フィリックス
フィリックス
///…っ
フィリックスの顔が赤くなる。
フィリックス
フィリックス
あ…あの、擦りむいた所大丈夫か確認するね。
一瞬照れた表情を見せたフィリックスだったが、大きな怪我をしていないか、心を集中させているようだった。
フィリックス
フィリックス
ごめん。ちょっと見るね。
私の後ろに周り、背中側の服を捲り上げる。
フィリックス
フィリックス
あ!やっぱり擦りむいてる!!
本当にごめんね。今絆創膏持ってくる。
フィリックスは救急箱のあるリビングに取りに行った。
フィリックス
フィリックス
何か塗り薬塗った方がいいかな…
あなた
あなた
擦っただけなら、そのままでも大丈夫ですよー
フィリックス
フィリックス
女の子の身体に傷が残ったら大変だよ…
あ、これ、すり傷にも良いみたい。この薬塗っておこう!
ごめんね、もう一度背中まくるね、そう言って背中側の服をぺらっとまくり薬を塗る。
あなた
あなた
ありがとうございます。
絆創膏を貼ろうとしてもう少し服を上に上げるとフィリックスがピタっと停止した。
フィリックス
フィリックス
あ…あの…
あなた
あなた
フィリックス
フィリックス
いえ…なんでもないです…
顔を赤くしながら、フィリックスは背中に絆創膏を貼ってくれた。

捲り上げた服を整えてくれるフィリックス。
フィリックス
フィリックス
ふぅーー…
呼吸を整えているようだった。
あなた
あなた
どうかしましたか?
不自然なフィリックスの顔を覗き込むと、
フィリックスがますます顔を赤くし、目を逸らした。
あなた
あなた
何ですかー!?
フィリックス
フィリックス
あ…いや…、悪く思わないでね…
その…ゴニョゴニョ…
最後の方が何言ってるかわからない。
あなた
あなた
え?聞き取れないですー
フィリックス
フィリックス
えっと…下着が見えてしまって…
ごめん!極力見ないようにしたから!!
あなた
あなた
え!!
恥ずかしい!!!
けど、フィリックスは悪気があったわけじゃなく、むしろ心配してくれていたわけで…
あなた
あなた
す…すみません…気を使わせてしまいまして…
私の顔も赤くなる…
このままだと気まずい雰囲気になってしまうから

気を取り直して…
あなた
あなた
ツリーの飾り付けしましょう!!
フィリックス
フィリックス
うん!そうしよう!(*´꒳`*)
いつものフィリックスの笑顔に戻っていた。

大きなツリーの箱を二人でリビングに運ぶ。

箱を開けると、組み立て式のツリーだった。

全部繋げると180㎝はありそう。フィリックスの身長も越えている。
あなた
あなた
うわー大きい! こんな大きいツリー飾るの初めてです!
フィリックス
フィリックス
みんなで住み始めた時に買ったんだよ。どうせなら大きいのにしようって!最初の年はみんなで飾って楽しかったなー!
(*´꒳`*)
翌年からは、手の空いているメンバーとフィリックスで飾り付けをしているそうだ。

小さなサンタのマスコット

雪の結晶を模ったオーナメント

木でできたお家

ひとつひとつを丁寧に取り付けていく。
あなた
あなた
このトナカイの顔かわいい♪
フィリックス
フィリックス
ああそれ、僕が選んだんだよ。いっぱいあるトナカイの飾りからかわいい顔してるのを選んだんだ。
あなた
あなた
セット売りしてるのを買ったのかと思いました。
フィリックス
フィリックス
ううん。飾りも一つ一つメンバーで選んだんだよ。こっちのモールでできたトナカイ見てー
あなた
あなた
え!?これトナカイですか!?豚に見える…
フィリックス
フィリックス
(*≧∀≦*)だよねー!チャンビニヒョンに似てるって言ってリノヒョンが買ったんだよー!
飾りひとつひとつにも思い出があるのだとフィリックスは語った。

キラキラ輝く星の飾りはスンミン、
銀色の汽車はバンチャン、
犬のマスコットはヒョンジン、
リアルな顔立ちの雪だるまはハン、
クリスマスツリーは全体的に赤くツヤツヤした球が飾られているが、赤にしようと決めたのはアイエンだという。
あなた
あなた
これもツリーに飾るんですか?
飾りが一通り入ったケースの中に食品サンプルのキーホルダーが入っている。
フィリックス
フィリックス
(*゚▽゚*)それはチャンビニヒョンが選んだラーメンのおもちゃ。
あなた
あなた
ふふふっ何でもありなんですねー
フィリックス
フィリックス
クリスマスっぽくないけど、個性あって僕達らしいよね(*´꒳`*)
ラーメンの食品サンプルの他にも、チャーハンやステーキもある。

飾ってみると意外とかわいい(笑)
フィリックス
フィリックス
電球も取り付けて…最後はこれ!
あなた
あなた
雪ですねー!
綿を千切って、薄く伸ばして、ツリーの枝に取り付けていく。
フィリックス
フィリックス
よしっ!!完成!!(((o(*゚▽゚*)o)))♡
最後に電球のスイッチを入れる。
綿の雪が電球を隠し、淡く光る。
フィリックス
フィリックス
もう一つ準備するものがあるんだー
そう言ってフィリックスはキッチンに駆け込み、大きな買い物袋を二つ持ってきた。
あなた
あなた
わぁ!お菓子!!
フィリックス
フィリックス
プレゼントの箱や靴下型のラッピングフィルムに詰め込んで、ツリーの下に置くんだよー。
25日になったら好きに食べて良いそうだ。
あなたさんも好きなの取っていってねとニコニコしながら話した。

ポテトチップといった大きめのお菓子から、懐かしい駄菓子までバラエティにとんだチョイスだった。

それらのお菓子をどんどんラッピングしていく。
あなた
あなた
うわーー!懐かしい!ジュエルキャンディー!
韓国にもあるんですねー!
指にはめられるキャンディーで、宝石の形をした部分がキャンディーになっている。
フィリックス
フィリックス
日本にも売っているお菓子なんだ!?これオーストラリアにもあったよ。
あなた
あなた
そうなんですか!?形がかわいくて、味も美味しくて大好きでした。私はこのイチゴ味がすごく好きで♪
韓国にある駄菓子は日本に無い物も多かったが、似ている物も多くあった。

フィリックスと私は、「懐かしいー」と話しながらお菓子を詰めて行った。

一通りつめ終わり、ツリーの下に置く。

子供の頃にこんなにツリーの下にお菓子があったらどれだけ嬉しかっただろうと、子供の頃の自分と重ねて眺めた。
フィリックス
フィリックス
部屋の電気、消すよー(*´꒳`*)
パチッ

電気の電源を消すと、ツリーの灯りが一層際立つ。

暖かなクリスマス。

街の中にあるツリーと違って、自分の家の中にあるツリーはなんて暖かい心地にさせてくれるのだろう。

心がポカポカしてくる。


カサカサカサッ

フィリックスがお菓子の袋を開けた。
あなた
あなた
あれ?お菓子は25日に開けるんじゃ…
フィリックス
フィリックス
これは特別。一緒に飾ってくれたお礼。
そう言って袋から取り出したのはイチゴのジュエルキャンディーだった。
フィリックス
フィリックス
もう一つ!
そう言って水色のジュエルキャンディーも袋を開けて取り出した。
フィリックス
フィリックス
丁度2つあったんだ!これはソーダ味かな?
クリスマスツリーの淡い灯りに照らされ、
ピンクとブルーのジュエルキャンディーがキラキラ輝いていた。

ツリーの前で跪くフィリックス。

手を差し伸べている。
あなた
あなた
あの…
フィリックス
フィリックス
お手をどうぞ。
あなた
あなた
…はい
フィリックスの差し出した手の上に、そっと私の左手を重ねる。

フィリックスはイチゴのジュエルキャンディーを私の薬指にはめた。
フィリックス
フィリックス
Just STAY with me.
英語の苦手な私でもわかる。

これは、クリスマスソングとして発売された、「24to25」の歌詞だ。

思わず顔がほころぶ。

跪いたままフィリックスは、ソーダ味のジュエルキャンディーを自分の左手にはめ、口元に持っていく。

ちゅ…

唇から離したジュエルキャンディーをコツンと私の指にあるジュエルキャンディーに合わせた。
フィリックス
フィリックス
Marry me.
あなた
あなた
え?メリー??
メリークリスマスの別の言い方だろうか?
マリーとも聞こえたけど…
ネィティブな発音だとこうなのかな?
フィリックス
フィリックス
ふふっ わからないままでいいよ(๑˃̵ᴗ˂̵)
あなた
あなた
???
フィリックス
フィリックス
今じゃないけど…
いつか…ね…
そう言って、私の手の甲に ちゅっと口付けた。





---「君と過ごすクリスマス-フィリックス」fin---

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