第24話

MANIAC 前のお話2
6,179
2022/05/11 14:18
あんなに高熱が出ていたメンバー達は次の日にはスッキリしていた。

意識が朦朧としていたスンミンもすっかり良くなり、ダイニングテーブルでお粥をもりもり食べている。
スンミン
スンミン
せっかく作ってくれたのに、昨日は食べられなくてごめんね。
あなた
あなた
気にしないで下さい!昨日作ったお粥はチャンビンさんがほとんど食べてくれたので!
スンミン
スンミン
昨日作ってくれたのも食べたかったよ。
あなたさんの手料理は全部ちゃんと食べたい。
なんて優しい言葉をかけてくれるのだろう。



スンミンは本当に紳士だと思う。
あなた
あなた
熱も1日で下がって、食欲いっぱいで本当によかったです!
スンミン
スンミン
あなたさんが看病してくれたおかげだよ。
あなた
あなた
大した事できてないですよ。
動けるみなさんは自分でやって下さってましたし。
スンミン
スンミン
僕は動けなかったから…きっといろいろ大変だったんじゃないかなって。
あなた
あなた
全然大変じゃないです!いつも現場でお勉強させて頂いてますし、私はみなさんに何もできていないので、これくらいやって当然ですー
スンミン
スンミン
お水…飲ませてくれたんでしょう?
あなた
あなた
えっ!?あっ…はい…
意識朦朧としているスンミンに
コップでお水を飲ませられなくて…



口移しで飲ませた事を思い出した。
スンミン
スンミン
大丈夫?顔が赤いよ
何て事してしまったんだろうと、深く反省をした。



紳士だもの…こんな、はしたない行動とられたら

すごい嫌だよね…



本人は気がついて無いようで、それだけが救いだった。
チャンビン
チャンビン
あーーお腹空いたーー
チャンビンがリビングに入って来た。
チャンビン
チャンビン
あ!あなたのお粥まだあったの!?
スンミン
スンミン
新しく作ってもらったんだよ。
チャンビン
チャンビン
えー!俺もたべたーい!!
スンミン
スンミン
昨日作ってくれたのは、ほとんどチャンビニヒョンが食べたって聞いたけど?
チャンビン
チャンビン
昨日は昨日、今日は今日!
あなた〜俺の分もあるー?
あなた
あなた
まだ沢山ありますよー。
チャンビンさん、お粥でいいんですか?
チャンビン
チャンビン
ん?
あなた
あなた
昨日もモリモリ食べられたので、
今日はもっと栄養ある方がいいかなって。
チャンビン
チャンビン
あなたが作ってくれんの?
あなた
あなた
はい!
チャンビン
チャンビン
あなた〜
キッチンに立つ私を後ろから抱きしめるチャンビン。
あなた
あなた
わわっ これじゃ作れないんで、座って待ってて下さい。
スンミン
スンミン
チャンビニヒョン!何してんの!!
スンミンが引き剥がしにくる。
チャンビン
チャンビン
あれ?
チャンビンが私の顔を覗き込む。

そんな様子にスンミンもキョトンとしていた。
チャンビン
チャンビン
お前…熱くない?
あなた
あなた
え? いつもと変わりませんけど?
チャンビン
チャンビン
いやいやいや…
チャンビンがおでこをくっつけて熱を計る。
スンミン
スンミン
!?なっ!!!
ハン
ハン
何してんのーーー!!!!
突然現れたハンが、チャンビンから私を引き剥がした。
スンミン
スンミン
ハニ!ナイス!
ハン
ハン
熱っ!!
あなた
あなた
???
ハン
ハン
あなたちゃん身体熱くない!?!?
チャンビン
チャンビン
だろ!だから体温計ってたのに、邪魔するなよ!
ハン
ハン
いやここは俺が!!
そう言ってハンは、私の肩を正面から持ち、顔を近づける。
ハン
ハン
んーーー♪(´ε` )
ヒョンジン
ヒョンジン
何してんのっ!
ハン
ハン
もがっ!!
またまた突然現れたヒョンジンが、ハンの口を押さえて阻止した。
スンミン
スンミン
もう!ちゃんと計って!!
スンミンは、ちゃんと体温計を持ってきてくれて、イスに座るよう促す。



ピピピ…ピピピ…



計り終わりのアラームが鳴る。
リノ
リノ
何?熱??
通りすがりのリノに計り終えた体温計が取り上げられる。
リノ
リノ
37.6度!?
チャンビン
チャンビン
ほら!やっぱり熱あった!!
いつものあなたの体温じゃないと思ったんだ!
ハン
ハン
なんでいつもの体温知ってるの!?
リノ
リノ
俺も知ってる。
そう言ってリノがぎゅっと抱きしめる。
リノ
リノ
本当だ熱い!!
ヒョンジン
ヒョンジン
どれどれ?
今度はヒョンジンが優しく抱きしめ、
頭をポンポンと撫でてくれる。


ぎゅっ…


ふぅ〜 ヒョンジンが穏やかな表情を浮かべ
癒されている。


まるで晴れた日の公園で、木漏れ日の下でまったりくつろぐような…
スンミン
スンミン
長いよ!!離れて!!
ヒョンジン
ヒョンジン
あ…良いところだったのに。
うん。確かにいつもより高い。
ハン
ハン
だからなんでみんな知ってるの!?


「いつも抱きしめてるから」



チャンビンとリノとヒョンジンは口を揃え、さも当然とばかりに言った。
ハン
ハン
こらーー!!
フィリックス
フィリックス
みんなどうしたの?
フィリックスとアイエンとバンチャンも、何事かとキッチンにやってきた。

メンバー勢揃いだ。
スンミン
スンミン
あなたさんの熱が高いみたい
アイエン
アイエン
えっ!?何度!?
あなた
あなた
微熱ですよー
別に身体は大した事無いですし
フィリックス
フィリックス
昨日看病してくれてたから…うつったんじゃ!
ハン
ハン
ごめん!あなたちゃん 俺のせいだーー!!
スンミン
スンミン
それを言うなら僕も看病してもらったし。
フィリックス
フィリックス
僕のせいでもあるよ。
ハン
ハン
いや、俺、あなたちゃんに添い寝を頼んじゃったし…
Stray Kids全員
Stray Kids全員
はぁ!?!?
ハン
ハン
ごごごめんっ!!
ヒョンジン
ヒョンジン
あなたさん、俺と一緒に寝よう。
ヒョンジンがすっと私の肩を抱き、自室に連れ去ろうとする。

リノが割って入り、ヒョンジンから引き剥がした。
リノ
リノ
いつも言うけどあなたは俺のだよ。
はい、みんな離れて!
チャンビン
チャンビン
ハニーー!!俺だってあなたに添い寝してもらいたかったぞ!抜け駆けするな!!
アイエン
アイエン
はわわわわっ…
一緒に寝るだなんて…
アイエンには刺激が強過ぎたらしく、1人あわあわしている。
バンチャン
バンチャン
とにかく、あなたさんに熱がある以上、今日はゆっくり寝てもらった方がいいね。
さあおいで。
優しく腕を引っ張られ、ひょいとお姫様抱っこするバンチャン。
あなた
あなた
あの!私、何とも無いので歩いていけますー
バンチャン
バンチャン
熱があるんでしょ?
言われた通りにして。
バンチャンにお姫様抱っこされたまま、ベッド運ばれる事になった。



その後をゾロゾロと着いてくるメンバー達。



あっ!と何かに気がついたような声をあげ、フィリックスが追い越し、
先に私の部屋に入る。


部屋に到着すると、
フィリックスはベッドメイキングをしてくれていた。



フィリックス
フィリックス
これで気持ち良く眠れるでしょ〜
(*≧∀≦*)
天使のような笑顔を浮かべている。



他のメンバー達は、気がつかなかったー!!先手を取られた!!とわきゃわきゃしている。



ぽすっとバンチャンに優しくベッドに置かれ…



チュッ



おでこにキスをされた。
バンチャン
バンチャン
早く良くなりますように❤︎
ぐわーーーーっ!!!

とメンバー達の悲痛な叫び声。


俺も!僕も!!とキスをしようとごちゃごちゃしている所をバンチャンが止める。
バンチャン
バンチャン
こういうおまじないは、1回きりなの。
はいみんな散って散って!
思いつかなかったのが悔やまれると
残念な表情を浮かべるメンバー達だった。
アイエン
アイエン
あの…これ…
アイエンがそっと私の枕もとに置いたのは
アイエンをイメージして作られたぬいぐるみ、SKIZOOフォクシニーだった。
アイエン
アイエン
寂しくないように…
恥ずかしそうにアイエンがつぶやく。


それを見たメンバー達は、やられたーーー!!!と一目散に各自部屋に戻り自分のSKIZOOを取ってくるのだった。


「はい!」

「はい!これ」

「俺のが一番あなたに近い所!!」


全員のSKIZOOがズラリと並んだ。
あなた
あなた
ありがとうございます
ニッコリ笑顔で返事すると、

メンバー全員、あなたの可愛いらしい笑顔にあてられ頬を赤らめていた。
バンチャン
バンチャン
じゃぁみんな、部屋を出るよ。
みんな居たらあなたさん休めないから。
Stray Kids全員
Stray Kids全員
おやすみ ゆっくり休んで
あなた
あなた
おやすみなさい













静まりかえる自室…

微熱がちょっとあるだけで、身体は元気なんだけどな。

しかもまだ朝の8時。

今日は6時半に起きたから、寝ようにも眠れない…



そういえば…

1人きりの時間ってソウルに来てからのこの1年、あっただろうか。


練習生としてレッスンを受け、マネージャーに扮してSrtay Kidsのお仕事に同行させてもらい、
宿舎はメンバー達の住む家だ。


たまにある休みも、何かとメンバーに誘ってもらって1人で過ごす事はほとんどない。


もちろん1日のうちで自分1人という時間はある。


長く取れる時は、練習してるか、宿舎を掃除したりご飯作ったり
完全なる無の状態はなかったんじゃないかな…。






何しようかな…

大人しく眠れるわけもなく、
急に空き時間ができると何したらいいかわからない。






カチャ…

ドアがそーーっと開き、さささっと入ってくる人が…



音をなるべくたてないように、静かに閉じられる。



そのぎこちない動きを一部始終見ていたわけで、


くるっと振り返るメンバーと思いっきり目が合った。





ハン
ハン
うわーーーっ!
ハンは自分で声を自制した。


大きな声を出したらまずいと、慌てて自分の口を手で抑える。
ハン
ハン
ご、ごめんっ ビックリさせちゃったよね…
喋り声もコソコソ声だ。


私も思わずコソコソ声で返す。
あなた
あなた
(どうして小声なんですか?)
ハン
ハン
(いや、だって、あなたちゃんの部屋から声が聞こえたらみんなにバレちゃうでしょ)
あなた
あなた
(バレたらまずいですか?
ハン
ハン
(チャニヒョンに怒られるよー!ちゃんと休ませてあげてって)
あなた
あなた
(そうですね(笑))
ハン
ハン
(あなたちゃんが熱出したの、絶対俺のせいだから、今日は責任もって看病しようと思って)
あなた
あなた
気にしなくて良いんですよー。みなさん病気だったから、覚悟の上です。
ハン
ハン
検査は受けた?
あなた
あなた
皆さん用に用意されてた、抗原検査キットを先程。
ハン
ハン
やっぱり陽性?
あなた
あなた
はい。でも、身体は本当なんともなくて。
午後に病院の予約が取れたそうでマネージャーさんが連れていってくれるそうです。
ハン
ハン
今は平気でも、この後辛くなるかもしれないからね。ゆっくり休むんだよ。
何かしてほしい事ある?
あなた
あなた
うーん…
ハン
ハン
添い寝しようか?眠れるように
あなた
あなた
全然眠く無いんですよね。
ハン
ハン
フラれた…
あなた
あなた
えっ!?
ハン
ハン
遠回しに添い寝は嫌だって言われた…
あなた
あなた
いえ!!そういう意味じゃないです!
もう今日は充分に寝たので、ちっとも眠くならなくて、どうしようかと思ってた所です。
ハン
ハン
じゃぁ一緒に映画でも観る??
あなた
あなた
良いですね!!観たいです!!
ハン
ハン
待ってて、今持ってくるから。
ハンは他のメンバーにバレないようにこっそり部屋を出て、パソコンを取りに戻って行った。












ハン
ハン
戻ったよー♪観よう〜
ハンは私のベッドにわくわくしながら入り、クッションを背もたれにして座るような形になった。


「もたれていいよ」と、私の肩をそっと抱くような形で映画を見始める。


「眠くなったら、寝ちゃってもいいから」とも言ってくれた。


ハンが用意してくれたのは今韓国で流行っている恋愛ドラマだった。


おもいっきり俺が観たい作品でごめんねと言われたが、韓国のドラマを観るのは初めてだったので、凄く楽しみだった。


内容は…ベタベタに甘くて、少女漫画のような胸キュンものだった。
ハン
ハン
俺さ…恋愛って経験した事無くて
こういうドラマ見て歌詞書いたり、感情表現したりしてんだよね。
あなた
あなた
ハンさんは、歌が情緒溢れているので、どうやって気持ちを表現されているんだろうって思ってました。
ハン
ハン
もう全部っていうほど、映画やドラマだよ。
あなた
あなた
私も…レッスンばかりじゃなく、もっといろんなものを見なきゃですね。
ハン
ハン
でもね…最近は映画からだけじゃないんだよね…
あなた
あなた
他にも方法があるんですか!?
ハン
ハン
うん。…自分が実際に経験する事かな。
あなた
あなた
えええっ!!むぐっ
ハン
ハン
しーーっ!!声が大きいよぉー
ハンに手で口を覆われてしまった。
あなた
あなた
す…すみませんっ ついっ…
ハンさんがお付き合いされているなんて、知らなくて…
ハン
ハン
いやいやいや、誤解!!誰とも付き合ってないよ。恋愛禁止だし!
あなた
あなた
え…じゃ…どうやって?
ハン
ハン
んー…片思い…。自分で想っているだけなら、違反じゃないよね。
あなた
あなた
わぁ〜 その想われている方は幸せですね。
ハンさんから好かれるだなんて。
ハン
ハン
本当にそう思う!?
いつになく真剣な眼差しで見つめられた。
あなた
あなた
もちろんです!
ハンさんの歌に込められた想いは、その方を想って歌われているんですよ。素敵です。
ハン
ハン
…4月から、ワールドツアーが始まるから
相手を想う歌は、今までよりも、もっと気持ちを込めて歌えると思う!!
真っ直ぐな瞳で強い想いを感じ、なぜか私は顔が火照ってしまった。
ハン
ハン
ワールドツアー観に来てね。絶対!
あなた
あなた
もちろんです!マネージャーに紛して同行しますから。
ハン
ハン
違うよ。招待出すから、ちゃんと客席で聴いていてほしいんだ。
いつになく強い眼差しで見つめられた。
あなた
あなた
は…はい。見させていただきます!
ハンはすごく嬉しそうな表情をして、私を抱きしめた。
ハン
ハン
(俺の想い…伝わるといいな…)
あなた
あなた
え?何ですか?
顔付近を腕でぎゅっとされていて、何を喋ったのか聞き取れなかった。
ハン
ハン
特に何も言ってないよ♪ ぎゅーーぅ♪
ハンはベッドで膝立ちになり、座る私をさらにぎゅっと抱きしめた。


さすがにちょっと苦しくて、やっとの思いで、顔だけを上に向け、ハンを見上げる形になった。
ハン
ハン
ヤバ…その顔…かわいい
女の子の上目遣いって、いやあなたちゃんだからなのか?

こんなに可愛いの??


胸元で抱きしめたから、見下ろすとすぐそこに顔がある…

昨日一緒に寝てくれた時だって…我慢できそうになかった。

俺の熱が高かったから、何もできなかったけど…

今は…









チュッ…
あなた
あなた
!?…あのっ…
ハン
ハン
あ…いや…頬が赤いから、ちょっと体温の確認!
ほっぺ…熱かったよ!熱高くなってない?
あなた
あなた
言われてみれば…クラクラしてるような…
ハン
ハン
え!?大丈夫!?
そばに置いておいた体温計をハンが見つけ、手渡される。


熱をもう一度計る事にした。


今は10時30分…最初に計った時から2時間30分経っていたんだ。




ピピピ…ピピピ…



計り終えたアラームが静かに部屋に響いた。
ハン
ハン
何度だった?
心配そうに覗き込む体温計には


38.8度


と表示されていた。
ハン
ハン
えっ!?熱上がってる!!!
大変だっ!!!
あなた
あなた
全然大丈夫なんですけど…
関節痛みたいなものも無いし、ちょっとクラクラするかなって。
ハン
ハン
起きてちゃダメだよ!!
ごめん、俺のドラマ鑑賞に付き合わせちゃったね…
急いでハンがベッドから出て私を横たわらせた。




〈続く〉

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