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" もう、可愛いだけの兎じゃない。
僕だって……男なんだから。 "
数分前のこと。
あなたがキッチンに行って
ココアを入れに行ってくれた。
あの時、正直に言えば………
あなたが俺のココアに媚薬を入れたこと…
なんとなくだけど、気付いてた。
キッチンに向かった時から何か変だとは
それなりに勘づいていた。
だってあなた、嘘つくの下手だから。
異常な程に毛先を弄りながら
目を泳がせて僕に目を合わせないように
ぎこちない歩き方でキッチンに向かうあなた。
案の定、横目で後を追っていたら
ココアになにか入れていた。
それが何かなんて、確認するまでもなかった。
それなら、どうしてそんなもの飲んだのかって?
自分でも馬鹿なことをしたのは分かってる。
でも仕方ないじゃないか。
だってそうでもしないと僕は……
あなたの望んでるような男になれないんだから…
薬の力に頼って、すぐに後悔した。
あぁ、僕あなたの前で何やってんだろ……
とか、
どうしてあなたに冷たく当たっちゃうんだろ……
とか。
意識はちゃんとあるのに、
自分で自分を止められなくなった。
話し方だっていつもと違うのは分かってる。
あなたが泣き出したのだって、
優しく受け止めて、許してあげたかった。
なのに、薬に頼ったせいで
僕のソレはまだまだパンパンで。
自分の性欲を満たす為なら
なんでも良かったのかな……。
すごく、最低な考え方だ。
分かってる。
理解してる。
なのに僕は……
あなたを無理やりベッドに押し倒し、
嫌がるあなたに深く口付けをした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。