ここが十二悪月が出たと言う情報のビル。
しかも上弦の壱と弐らしい。
なのに私一人で中に入るって滅茶苦茶怖いんですけど!!
お館様曰く「あなたの銃の的中率は、凄いからね」と、
いやぁ、お褒めいただくのはとてつもなく嬉しいんですけどね!
まぁ、それに最近の一般の警官達は質がねぇ、落ちたな。うん、
あぁ、怖い怖い!
でももう、私はキメツ警察署に属しているんだからしっかりしなくちゃ!!
一回深呼吸 スゥゥゥゥゥ ハァァァァァ
私は軽く自分のほっぺを叩いて「よし!」と、言いビルの中に入っていった。
ビルの周辺にはパトカーが居る。
私は、静かに階段を上がっていく。
トコトコ
ここだ。
私は思いっきりドアを開けて「手を上げなさい!!」と言った。
男二人はゆっくりとこちらを向き、一瞬目を見開いた。
銃を構えながらジリジリと近づく。
男達は素直に両手を上げた。
私はその素直さに少し驚きながら、二人に手錠を掛けた。
自分の右手と冨岡義勇の左手、自分の左手と鱗滝錆兎の右手に手錠を掛ける。
私は、案外素直だなぁ~と思いながら階段を降りていく。
外に出ると大勢の警官達が銃を構えながら待っていた。
その時、
バン!
と、発砲の音がした。
私はとても驚いた。
手錠をしていたはずの鱗滝錆兎の右手には、手錠が掛かっていなかったから。
あなた(これが十二悪月……!)
鱗滝錆兎は私のおでこに軽くキスをして、
鱗滝錆兎「良い子にしてろよ、あなた」と、いった。
私はその瞬間、ふわりと浮いた。
あなた「へ?」
冨岡義勇は片手で私を持った。
あなた「え!ちょ、待てー!!っていうか私名乗ってない!!」
冨岡が、もう片方の手で私の口を抑えた。
あなた「ん!んん!!」
ジタバタと抵抗してみるが、やっぱり相手は男性だ。
ビクともしない。
私はそのまま車の後頭部座席に乗せられる。
そして唇に柔らかい感触があった。
目の前には、整った綺麗な顔があった。
私はキスされたということを理解するまで、時間がかかった。
あなた「んんんん!んん!!」
私はどんどん苦しくなってきて、口を開けた。
すると、ヌルッと口の中に舌が入ってきた。
あなた「むぐっ!ん、ふぁ、んあ!」
冨岡の舌が私の、口の中を掻き回す。
私は、抵抗しようとして手をあげると、
ドン!
と、押し倒されてしまった。
そしてまた、長いキスをされた。
やっと口が離れた。
あなた「ちょ!ちょ、ちょ、ちょ、何するんですか?!」
冨岡はコテンと、首をかしげた。
その仕草が小動物にしか見えなくて、一瞬可愛いと思ってしまった。
冨岡「お前、記憶ないのか」
あなた「はぁ?何ですか、記憶って。」
冨岡「無いなら、思い出してもらうまでだな」
ガチャリとドアが開いた。
鱗滝「フッ 何押し倒しちゃってんだよ。本当義勇は昔からあなたのこと好きだよなぁ~」
あなた「だから何で私の名前知ってるんですか」
鱗滝「あ、お前記憶ないんだな」
あなた「だから記憶って何ですか」
鱗滝「まぁ、いい。俺たちのアジトに連れてってやる」
あなた「えっ!良いんですか!?」
鱗滝「あぁ、あなたにはそこで暮らしてもらうからな。」
あなた「は?え、何で?」
冨岡「皆に紹介するためだ」
あなた「紹介して何の意味があるんですか!?」
冨岡「あなたが記憶を取り戻してくれるかもしれないから」
あなた「………………私達ってどこかで会ったことありますか?」
鱗滝「あぁ、仲間だった」
あなた「えっ!じゃあ私、悪い人だったんですか?」
鱗滝「いや、違う。その時は違かった。逆にいい人だった。警察ではないが、俺たちは悪い奴らから住民たちを守っていた。」
あなた「そうなんですか。その昔っていつですか?」
冨岡「信じるか?」
あなた「うーん、騙さないと誓いますか?」
冨岡「あぁ、その昔は
"大正時代だ" 」
あなた「そんな昔から、知ってたんだ……。ごめんなさい、思い出せません」
鱗滝「信じれるのか?」
あなた「はい、貴方達は何故か信じれるんです。まぁ、頑張って思い出して見せます!!」
冨岡「あぁ、ゆっくり思い出して行けばいい ニコ」
鱗滝「そうだな、もうじき思い出すだろう ニコ」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。