ここで時間を遡ろう。クリスマスの夜、霧河は、叶に犬の人形を渡した後も、たくさんの家のたくさんの子供達にプレゼントを渡していた。2軒目~4軒目までは何事もなく渡せたが、5軒目の子供にプレゼントを渡した直後にもまた、子供が起きてしまった。
というより、今回は、霧河がドジを踏んで、その子の暗い部屋の中で、
その子が片づけそびれて床に転がったままだったフィギュアを
ゴキブリと見間違えて驚いて、慌てて思いっきりコケて大きな音を立てて、同時に、叫んでしまった事により、
起こしてしまったのだ。
「ワ~ッ!!」と子供が叫ぶ。
(マ、マズい・・・!!)と思い、急いで子供の口を霧河が
手で抑え、「シ~ッ!!」と言う。
そう、
この子は調査をしていた時、
「〝グロリアスライダー〟の変身セットが欲しい」と
言っていた男の子だ。
豆電球を点けた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!