私はそう言いながら 、ママを見つめる 。
私がハウスを出てこの門に来た理由は 、今から出荷
されるから 。
鬼の食糧とされる為に 、殺されるから 。
私は今から 、死ぬ身のはず 。
この判断は 、私ではなくママがするべき …… 。
ママは私の意を汲んでくれたのか 、私の求めていた
答えを言ってくれた 。
しかし 、それは驚くべきものだった 。
…… 出荷されない ?
私は ___ 鬼に喰われない ??
真実を知った瞬間 、何故か足に力が入らなくなり私はその場に座り込んだ 。
驚いた 。
まさか自分がここまで強がっていたとは 。
死ぬ覚悟は出来ていたと思っていたのに 、
やはり " 死 " というものは怖いものだ 。
すると急に、これまでハウスを旅立っていった家族の顔が脳裏をよぎる 。
私は 、王女だったから助かっただけ 。
他の皆が 、この世にいない事に変わりはない 。
そう思うと 、自分に腹が立つ 。悔しい 。
私だけ助かって 、
これから呑気に生活していくなんて ……… !!!
ママは私と目線を合わせ 、両手を包み込むように
握ってくれる 。
ママにそうされた事で 、私は無意識に手に力が入っていた事に気がついた 。
自身の爪によって攻撃された掌がジンジンと痛む 。
そう言ってママは 、私を優しく抱きしめてくれた 。
その温もりは 、言葉に言い表せないくらい温かく
これから先を不安に思っているあなたにとって 、
とても心落ち着かせるものだった 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。