第69話

貴 女 は 悪 く な い
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2023/01/14 10:00
お 母 さ ん
本当はあなたに今 、説明してあげたいんだけど 、話せば長くなっちゃうから
後でも良いかしら …?
お 母 さ ん
先にあなたに会わせたい人がいるの 。
(なまえ)
あなた
私は全然良いんだけど …… 、

私はそう言いながら 、ママを見つめる 。




私がハウスを出てこの門に来た理由は 、今から出荷
されるから 。

鬼の食糧とされる為に 、殺されるから 。




私は今から 、死ぬ身のはず 。

この判断は 、私ではなくママがするべき …… 。









ママは私の意を汲んでくれたのか 、私の求めていた
答えを言ってくれた 。






しかし 、それは驚くべきものだった 。









イ ザ ベ ラ
イ ザ ベ ラ
… あなたはね 、出荷されないのよ 。
イ ザ ベ ラ
イ ザ ベ ラ
あなた 、貴女はこれから王女として
生活していくの 。


…… 出荷されない ?




私は ___ 鬼に喰われない ??








真実を知った瞬間 、何故か足に力が入らなくなり私はその場に座り込んだ 。

お 母 さ ん
あなた…!大丈夫…!?!
(なまえ)
あなた
う、うん…大丈夫…、

驚いた 。

まさか自分がここまで強がっていたとは 。







死ぬ覚悟は出来ていたと思っていたのに 、



やはり " 死 " というものは怖いものだ 。











すると急に、これまでハウスを旅立っていった家族の顔が脳裏をよぎる 。






私は 、王女だったから助かっただけ 。



他の皆が 、この世にいない事に変わりはない 。



そう思うと 、自分に腹が立つ 。悔しい 。






私だけ助かって 、


これから呑気に生活していくなんて ……… !!!



イ ザ ベ ラ
イ ザ ベ ラ
…… あなた 、
(なまえ)
あなた
… ッ !!


ママは私と目線を合わせ 、両手を包み込むように
握ってくれる 。




ママにそうされた事で 、私は無意識に手に力が入っていた事に気がついた 。


自身の爪によって攻撃されたてのひらがジンジンと痛む 。



イ ザ ベ ラ
イ ザ ベ ラ
貴女は悪くない 。
イ ザ ベ ラ
イ ザ ベ ラ
あなたが自分を攻める必要なんて 、
何も無いのよ 。
(なまえ)
あなた
ママ…… 、、



そう言ってママは 、私を優しく抱きしめてくれた 。









その温もりは 、言葉に言い表せないくらい温かく
これから先を不安に思っているあなたにとって 、
とても心落ち着かせるものだった 。

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