「明輝さん、そろそろタピオカ行かない?」
「…そやな、そろそろ行こか。」
明輝さんと遊びに来てかれこれ数時間。
お別れの時間も近づいて来ている。
「どこがいいんだっけ、明輝さん。」
「えっとな〜、あ、そこのお店や!」
見えたのは可愛らしい外装のお店。
…男2人で入れるかな…
「ほら、行こや!」
「え、あ、うん…」
明輝さんに手を引かれながら、
顔を俯かせて歩く。
ードンっ
俯いているせいで誰かとぶつかってしまった。
あ、謝らないと…
そう思い顔をあげる
「あの、すいません!」
「あ、大丈夫ですよ。
…って、え。」
え、と言った人の顔をよく見ると、
僕がぶつかったのは紅さんだった。
「こ、青葉さん…!どうしてここに…?」
危ない、明輝さんがいるのに紅さんって
読んでしまうところだった。
「お、青葉やんけ、どうないしたん?」
「ん、友達とタピリに来た〜」
紅さんの、友達。…もしかしたら、
前に紅さんに電話をかけて来た人かもしれない。
「紅〜?タピオカ買ってきたよ〜?」
ほんの一瞬、紅さんの表情が変わった気がした。
…ここには紅さんの本名を知らない明輝さんがいる。
「…美駒ありがと。」
「んな、紅ってもしかしてー」
「…明輝さん、そろそろタピオカ買いに行っちゃおう?
なんか混んでるみたいだし」
「あ、おう…」
紅さんが明輝さんに本名を言うまでは、
紅さんの本名は明かしてはいけない。
紅さんがその気になったら、
明かすのがいいと僕は思うから。
「じゃ、青葉さんと…美駒さん?
またお会いしましょ。」
本当は美駒って人の事を知りたい。
紅さんにとって、どんな人なのかとか、色々。
でも、紅さんの秘密をこんな形で
明かしてしまうのは違う気がするから。
紅さんの方を向く。
すると紅さんは僕の方を見ながらゆっくりと
口を動かした。
『あ.り.が.と.』
うん、紅さんの役に立てたなら、それで十分。
「じゃ、明輝さん。行こっか。」
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まだテストは終わってないんですけど、
どうにか合間を縫って更新する事が
出来ました…!
まだまだ更新出来ないことが続くと思いますが、
これからも頑張りますので、
「僕しか知らない。」をよろしくお願いします…!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。