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第2話

ウソク×喧嘩
599
2019/06/14 13:57
『もういい』

そう言って家から飛び出した。
何処へ行こうか。そう考えた時ふと頭に浮かんだのは彼の友人で、私と同じ日本人の彼の人だった。

「あ、もしもし。ゆうと?」
「何、寝ようとしてたんだけど。」
「今からそっち行っていい?」
「……、はぁ。良いよ。」
「御免。」

玄関のチャイムを鳴らすと彼が扉を開けてくれた。

「お邪魔しまーす。」
「そこ座って。」
「うん。有難う。」
「何飲む?」
「緑茶とかあったりする?」
「あるよ。温かいのでいい?」
「うん。」

「…で。今回は何?」
そう私に問い掛けるゆうと。
「女の子と居た。」
「はぁ?」
「…誰かは知らないけどさ。楽しそ〜にショッピングしてました。」
「見間違いとかじゃなくて?」
「あんな背高いやつ見間違えないでしょ。」
「そりゃそうか。」

ぴこん、ぴこんと点滅する私のスマホ。

「出なくていいの、」
「良い。彼奴が悪いんだもん。」
「…そっか。とりあえず今日遅いし俺のベッド使っていいから寝ろ。」
「え、いいよ床で。」
「客を床に寝かせる訳にも行かないだろ?しかも、ウソクに怒られるし。」
「…有難う。」
「ん、いーえー。」
彼のベッドに寝っ転がって目を閉じた。

side Y
何時もそうだ。あの子は喧嘩をすると俺に慰めて貰おうとする。
「俺もお前が好きなんだけどなぁ…」
自嘲するように笑っては気持ちよさそうに眠る彼女の頭を撫でる。
「んんぅ…」と擦り寄る彼女を可愛い、なんて思って少し見つめてから携帯であいつに電話した。

『ヨボセヨ、ウソガ?』
『っ、ユウト…』
『喧嘩したんでしょ。来てるよ。』
『何時も悪い、』
『否、別に。』
『…違うんだよ。』
『分かってる、取り敢えず家おいでよ。』
『おう。』

side W
…彼女と喧嘩した。
原因は俺が女の人といたこと。
まさか見られていたなんて思わなかった。
俺も悪いかもしれないけど早とちりし過ぎな彼奴も…悪いだろ。
急いで支度をし、引き出しから小箱を取り出しそれをポケットに入れて俺はユウトの家へと向かった。

『着いた』と連絡を入れ、彼の家の扉を開ける。
『悪ぃ、邪魔して。』
『何時もの事じゃん。』
『あぁ、まぁ…』
『で、なんなの、此奴のした誤解って。』
彼女に目を向けるユウト。
『俺あの日、此奴の誕生日プレゼント買ってたんだよ。』
彼女の美しい髪を梳くように撫でる。
『プレゼント…あぁ、そういうこと?』
『そういうこと。』
『プレゼント?嘘でしょ、』
『…あなた。やっぱ起きてたんだ。』
『うん、寝てすらいないけど?』
『なぁあなた。ほんとなんだよ。』
『じゃあ一緒にいた女の人は誰だった訳?』
『……っあれ、スタイリストヌナ!!』
『は?』
『彼の人に、一緒にプレゼント考えてもらってたの!!』
『嘘でしょどうせ。』
『嘘じゃない。』
「あなた。俺にはウソクが嘘言ってるようには見えないけど?」
『……』
『これ。』
そう言って彼女に小箱を渡した。
『開けて、いいの…?』
『当たり前じゃん。』
シルバーリング。本当は当日に渡そうと思ってたけど…
『ねぇ…これ、』
『色々聞きながら、頑張って選んだんだ。俺こういうの疎いから…』
『はめて、これ。』
と箱を俺に渡す彼女。
震える手で彼女の指にリングをはめる。
『…ふふ、嬉しい。ありがと。』

『おふたりさーーん。俺もいるんですけど?』

『あっ、御免…』
『悪い…』
『まぁとりあえず、』

『あなた、お誕生日おめでとう!』

『有難う!』

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