第6話

全面戦争
356
2021/01/25 11:54
外にいた者も含めて生徒の避難は既に済んでいる。
思う存分暴れることが出来るってわけだ。
燦蛇組 組長
さすが、鬼門のお嬢様
燦蛇組 組長
運動神経いいねェ
鬼門 椿
鬼門 椿
それはどうも
鈴原 龍央
鈴原 龍央
椿、俺たち2人じゃこれだけの人数相手にできないぞ!
今ここにいる燦蛇組の人数は約30人。
そして、私たち鬼門組は2人だ。
一見私たちは崖っぷちに見える。でも…………
鬼門 椿
鬼門 椿
何言ってんの、龍央
鬼門 椿
鬼門 椿
これくらい私ら2人でできるでしょ
ニヤリと笑い龍央を見ると、龍央も笑っていた。
鈴原 龍央
鈴原 龍央
あぁ………
お嬢がそう言うんなら楽勝だなァ
私たちは小さい頃から一緒に戦ってきた。
お互いに背を預けて構える。
鬼門 椿
鬼門 椿
さぁ、気を取り直していくよ!
鈴原 龍央
鈴原 龍央
おうっ!
掛け声とともに走りだし、片っ端から潰してく。
燦蛇組 若衆
くっそ……!
燦蛇組 若衆
こいつら、全然速度落ちねぇ…
燦蛇組 若衆
むしろ上がってねぇか!?
燦蛇組 若衆
歯が立たねぇ
そして………
鬼門 椿
鬼門 椿
ふぅ…………
鈴原 龍央
鈴原 龍央
やっと終わりましたねぇ……
グラウンドに立っているのはこの2人だけ。
あとの燦蛇組は地に転がっていた。
鬼門 椿
鬼門 椿
そうやぁ、組長は?
鈴原 龍央
鈴原 龍央
どっかで転がってるんじゃ?
鬼門 椿
鬼門 椿
逃がしたら元も子もないからなぁ…
鬼門 椿
鬼門 椿
虱潰しに探すか
そう言って近くに転がっている燦蛇組の者に手を伸ばそうとした時……
「おっと、動くなよ〜」
鬼門 椿
鬼門 椿
っ!?
鈴原 龍央
鈴原 龍央
椿っ!
目線だけを動かすと、少し離れた所にやつはいた。
鬼門 椿
鬼門 椿
組長っ…………!
燦蛇組 組長
やぁ、派手にやってくれたねぇ
鈴原 龍央
鈴原 龍央
おまっ…、生きてっ!
燦蛇組 組長
まあまあ、そんな怒らず〜
燦蛇組 組長
この銃口の先が見えないか?
ゆっくりと目だけを動かして銃口の先を見る。
鬼門 椿
鬼門 椿
お前ぇぇえ!
銃口の先は両手を上げた美凜に向いていた。
一瀬 美凜
一瀬 美凜
椿、ごめんっ……
燦蛇組 組長
ははっ、酷い顔だ
燦蛇組 組長
こいつを殺したくなければ俺に従え
鬼門 椿
鬼門 椿
はぁ?
燦蛇組 組長
元々、目的はお前なんだ。
お前がさっさと出てこればこんな事にはならなかったんだよ
鈴原 龍央
鈴原 龍央
お嬢、ダメだっ!
燦蛇組 組長
おおっと、動くなって〜
一瀬 美凜
一瀬 美凜
椿、私のことはいいからっ!
鬼門 椿
鬼門 椿
…………
どうしよう、どうする………
美凜を巻き込んでしまった。
ここで動けば美凜は殺される、それはダメだ。
私がいなくなったとしても龍央が何とかしてくれるはず。なら…………
鬼門 椿
鬼門 椿
龍央、待て
鈴原 龍央
鈴原 龍央
っ……!
そう言って、両手を上げる。
燦蛇組 組長
そうだ、それでいい
組長は美凜に向けた銃口を私に向け直した。
燦蛇組 組長
そのまま校門まで歩け
私は言われた通り歩く。
一瀬 美凜
一瀬 美凜
椿っ……!
大丈夫よ、美凜ー
私はそう簡単に捕まるヤワな女じゃない。
なんたって、
私は鬼門組組長の孫娘 鬼門椿なんだから………!
ザッと駆け出す音がする。
鈴原 龍央
鈴原 龍央
お嬢っ!
その音と声に反応した組長が後ろを振り向く。
燦蛇組 組長
動くなっ!
その瞬間、銃口は私からズレる。
その隙を狙って……

一気に蹴るっ!!!
燦蛇組 組長
っあ!!!
蹴られた組長が倒れる。
鬼門 椿
鬼門 椿
動かない方がいいのはお前の方だよ
燦蛇組 組長
くそがァ!
組長の手に握られている拳銃を奪い、投げ捨てる。馬乗りで両手の主導権を奪うが、なんせ女子高生と成人男性だ。力の差がある。
頭を殴られ一瞬逃がしそうになるも捕まえる。
鬼門 椿
鬼門 椿
逃がさねぇぞ……
そこで龍央も加勢し、組長は捕まった。


燦蛇組の組長と若衆たちはその後来た警察によって連行された。
燦蛇組 組長
このままで終わると思うなよ
そう言い残して組長はパトカーに押し込まれた。
美凜はというと……
一瀬 美凜
一瀬 美凜
椿ぃ、ごめんんんん〜!
と泣いて抱きつかれた。
その時の威力ったらもう、凄かったわ………
そして、
鈴原 龍央
鈴原 龍央
こっの、アホお嬢、バカお嬢!
私は龍央にめっちゃ怒られた…………
鈴原 龍央
鈴原 龍央
屋上から飛び降りたら次は無理に殴りかかりりやがって……!
鈴原 龍央
鈴原 龍央
俺がもうどんだけ心配したかと……
めっちゃ冷や汗出たわ!
鈴原 龍央
鈴原 龍央
あー、もうほんとに……
あーもうっ!!!バカ椿が!
鬼門 椿
鬼門 椿
はいはい、ごめんてぇ
鈴原 龍央
鈴原 龍央
大体なぁ、「待て」って言われて俺が待つと思うか?
鬼門 椿
鬼門 椿
でも言う事聞いてくれるでしょ?
鈴原 龍央
鈴原 龍央
成功しなかったら死んでたからな!
そう、あの瞬間、私は龍央に合図を送っていた。
〜〜〜〜〜
鬼門 椿
鬼門 椿
龍央、待て
そう言うと、私は手話で龍央にメッセージを送る。
幸い私の手は後ろにあり、龍央も私より後ろにいたため組長にはバレずにすんだ。

「隙を作り、一気に攻撃」

そう手話をすると、両手を上げ従うフリをした。

〜〜〜〜〜
鬼門 椿
鬼門 椿
龍央ならできるでしょ〜
鈴原 龍央
鈴原 龍央
まぁ、俺は優秀だからな
ん、あれ、龍央……?
鈴原 龍央
鈴原 龍央
それくらい……
鈴原 龍央
鈴原 龍央
おい、椿?
あ、やばいかも…………
鈴原 龍央
鈴原 龍央
椿、椿っ!!!
龍央が私を呼ぶ声が微かに聞こえ、
そのまま私は意識を手放した───

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