外にいた者も含めて生徒の避難は既に済んでいる。
思う存分暴れることが出来るってわけだ。
今ここにいる燦蛇組の人数は約30人。
そして、私たち鬼門組は2人だ。
一見私たちは崖っぷちに見える。でも…………
ニヤリと笑い龍央を見ると、龍央も笑っていた。
私たちは小さい頃から一緒に戦ってきた。
お互いに背を預けて構える。
掛け声とともに走りだし、片っ端から潰してく。
そして………
グラウンドに立っているのはこの2人だけ。
あとの燦蛇組は地に転がっていた。
そう言って近くに転がっている燦蛇組の者に手を伸ばそうとした時……
「おっと、動くなよ〜」
目線だけを動かすと、少し離れた所にやつはいた。
ゆっくりと目だけを動かして銃口の先を見る。
銃口の先は両手を上げた美凜に向いていた。
どうしよう、どうする………
美凜を巻き込んでしまった。
ここで動けば美凜は殺される、それはダメだ。
私がいなくなったとしても龍央が何とかしてくれるはず。なら…………
そう言って、両手を上げる。
組長は美凜に向けた銃口を私に向け直した。
私は言われた通り歩く。
大丈夫よ、美凜ー
私はそう簡単に捕まるヤワな女じゃない。
なんたって、
私は鬼門組組長の孫娘 鬼門椿なんだから………!
ザッと駆け出す音がする。
その音と声に反応した組長が後ろを振り向く。
その瞬間、銃口は私からズレる。
その隙を狙って……
一気に蹴るっ!!!
蹴られた組長が倒れる。
組長の手に握られている拳銃を奪い、投げ捨てる。馬乗りで両手の主導権を奪うが、なんせ女子高生と成人男性だ。力の差がある。
頭を殴られ一瞬逃がしそうになるも捕まえる。
そこで龍央も加勢し、組長は捕まった。
・
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燦蛇組の組長と若衆たちはその後来た警察によって連行された。
そう言い残して組長はパトカーに押し込まれた。
美凜はというと……
と泣いて抱きつかれた。
その時の威力ったらもう、凄かったわ………
そして、
私は龍央にめっちゃ怒られた…………
そう、あの瞬間、私は龍央に合図を送っていた。
〜〜〜〜〜
そう言うと、私は手話で龍央にメッセージを送る。
幸い私の手は後ろにあり、龍央も私より後ろにいたため組長にはバレずにすんだ。
「隙を作り、一気に攻撃」
そう手話をすると、両手を上げ従うフリをした。
〜〜〜〜〜
ん、あれ、龍央……?
あ、やばいかも…………
龍央が私を呼ぶ声が微かに聞こえ、
そのまま私は意識を手放した───
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。