恐る恐る高校の校内に足を踏み入れ、階段を上り賑やかな文化祭のひどい人混みの中を歩き進んでいくと
お姉ちゃんの友達らしき外国人を大きな声で呼んだ。
綺麗なストレートヘアのお姉さんだけど、とても気さくで元気。だからなんとなく、高校の制服が似合っていた。
見た感じ東南アジアの出身といった顔立ちをしていた。
私が堅苦しく挨拶をしてペコっとお辞儀をすると、少し不思議がるような顔をしたあとで大きく笑った。
そういうと私にちかづいて、熱いハグを交わされて
海外に住んでいた私はこんなの慣れっこのはずなのに、久々の人の感覚に顔は次第に真っ赤になっていった。
でも、なんだかとても暖かくて安心する…嬉しかった。
聞いたところ、やっぱりアイナはフィリピンの出身だって。
幼少期に一度旅行で行った時以来だが、ボラカイ島とは違う。
また、もう少し遠い地方だからあの島で聞いた方言とはまた違う言語らしい。
へえ、フィリピンにはいろんな言語が行き交ってるんだ。勉強になったなぁ。
でも、フィリピンらしさを残しつつすごく自然に韓国に馴染んでる。
それがまた彼女の魅力を引き立ててるもんだから、笑顔ひとつだけでもこちらとしては致命的だ。
ちょっと廊下で喋っていたら、何人かハーフ会のうち残りのメンバーも到着した。
リュウさんは、すこし厳つ目のヤンチャ系お兄さん。
すごく顔立ちが整っていてモテモテらしいが、一個下の彼女さんがいてツンデレに対して甘々というギャップがある。
ちなみに趣味は車とバイクで、この後自慢のアメ車でドライブらしい。楽しみ!
アミーさんは知的なお姉さんって感じ。
現役大学生らしくて、都心のほうに住んでるけどやっぱり真面目で一生懸命アルバイトで生計を立てて生活してる。
そんな彼女にも恋人がいて、同じくペルー人の彼氏。
そんな彼氏に対してはだいぶドSらしく、容赦なくぶっ叩くものだからDV...?と一瞬疑ったものの愛のあるムチだった。彼氏さんも喜んでるし結果オーライだね^ ^
ちなみに酒豪でもある。人は見かけに寄らぬものだね。
最後にジョイさん。
男の子にしては小さめの身長で私よりも小さい。でもすごく顔が小さくて足が長い!
子犬系って感じですごい可愛い。でも見かけに寄らず、結構なプレイボーイらしくて度々問題を起こしては苦労してるらしい。
自業自得だけど、今はちゃんと大切な彼女さんがいて毎日バイクで迎えに行ったり世話を焼いたりと年下彼女を思うまま可愛がってる。
人は変われるものなんだね。
どうりで声が高くて私より背が低いと。
その発言で全ての合点があった。
でも体は女の子なのに自分のしたいように生きて、さらにモテモテなんて感心しちゃうなぁ。
私も頑張ったらあんな感じになれるかな?自由に生きて自分を愛せる人になりたいな。
そのあと自己紹介を進めると、いろんなクラスを訪問してお店などを楽しんだ。
全日制の高校に始めてきたけど、後悔したかも。
だって、どこも楽しそうに笑ってるんだもん。
みんな笑顔が輝いてる。
私が今までビクビクしてたのが馬鹿みたいだ。
色んなゲームを楽しんだり、生徒の手作り料理を堪能して、さらにこんなものまで…
私にそんな常識はないけど、どうやらみんな若くしてもうお酒の飲み方を覚えてるみたい。
わ、私もそのうち飲むのかな?
いや、、遠慮してお茶でも飲もうかな、その時が来たら。
そのあとも校内を回って、いろんなクラスを見て回ったりアイナちゃんの友達や先生に挨拶をして。
それにしてもアイナちゃんの人脈の広さにはビックリだよ。。
文化祭も終盤に差し掛かった頃、私達は一足早めに学校を出てリュウくんの車に乗り込んだ。
そして私はなにがなんだか分からないまま、みんなの流されて慣れない都会の道をクライスラーで走り抜けていく……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。