手当てが一通り終わると私たちの間にはなんとも言えない気まずさが漂っていた
『…あの、ありがとうございます』
千秋「いや!いいんだ、その…君の傷は…」
「言いたくなかったらいいんだ!」と慌てて付け足す彼。
『はは、こういう趣味の彼氏でして』
そんなのウソだ
でも言わなければ疑われるだろうし
虐待だなんて言えないし
千秋「なぜこんな事をする恋人と一緒にいるんだ、君は辛くないのか?」
『、、』
恋人もなにも、そんな人居ないからなんにも響かない
でも、辛くないかと問われればとても辛い
毎日、今日こそ殺されるかも知れないとビクビクしながら生きている
痛い
辛い
泣きたい
ポロポロ
気付けば私は泣いていて
『うぐっ、ふぅうっ、』
千秋「…泣いてしまう程辛かったんだな。いいよ、今日はめいいっぱい泣けばいい」
私は守沢先輩の胸で泣いた
泣いて泣いて、泣き倒した
泣き終わるまで守沢先輩は一緒に居てくれた
その後にお互いの自己紹介をして
守沢先輩のいる学院は腐りきっていること
守沢先輩がそれを変えたいと思っていること
この日もメンバーが練習に参加してくれなかった事
ガラの悪い生徒に巻き込まれ怪我をする事もあるので絆創膏などを持ち歩いていること
ヒーローに、なりたいと思っていること
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!