守沢先輩の言葉を胸に、私は夜中逃げ出した
父親が寝ている隙に
母さんが亡くなるまでは大好きだった父親。
置き手紙を置いておいた
(お父さん、今までありがとうございました
私は昔のお父さんが大好きでした
正直、今のお父さんは恐怖でしかない
勿論痛いのも苦しいのも嫌いです
でもお父さんもお父さんなりに考えがあって、
辛くてそれが上手く表現できないんだよね
これは誰も悪くない
お父さんをそうさせたのも、お母さんが死んだのも
誰のせいでもないんです
私はこれから自力で生きていきます
でないときっと、私はお父さんに殺されてしまうから
今がどうであろうと、一緒に笑えた時間は嘘じゃないはずです
だからありがとうございました
さようなら)
手紙には私の涙の跡
あぁ、どうしてこうなってしまったんだろう
ただ単純に、戻りたい
幸せだったあの頃に、戻りたいッッ…
~〜~〜〜~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『っふ、うぅ…ヒックっうぅぅ』
私は泣きながら走って走って
バイト先にも辞めると電話して
今までにバイトで稼いだお金と最低限の荷物を持って
……彼にもらった月のネックレスを握りしめて
取り敢えず今日は隣町の公園で過ごそう
そう思っていると
あんず「おと…??」
中学時代の親友の声がした
それから少し話して、
あんずは今一人暮らしをしていて今度転校することなどを話してくれた
あんず「取り敢えずうちに来なよ、風邪ひくし」
『…うん、ありがとう』
あんずの家に行ってお風呂を頂いて
手当をしてもらった
あんず「このキズ、酷い…」
『逃げてきたんだ、それから』
あんず「え?」
『その傷ね、お父さんが付けたの。中学にも話したけど』
あんず「やっぱ、まだ続いてたんだね。高校生になってから会えなくてずっと心配してた」
『ありがとう』
あんず「家は?どうするの?」
『取り敢えずバイトで稼いだお金でネカフェ?』
あんず「……………………」
あんず「ならうちに住めばいいよ!!」
『へ??』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!