緑谷side
ドーン
ボンボン
危ない!
そう思っても、体が動かなかった…
怖かったんだ。
そしたらいつの間にか、鬼がかっちゃんの所に来ていて…
そこからはスローモーションのように見えた。
そして気付いたら…
あなたさんがかっちゃんを庇っていた。
そしてあなたさんは、かっちゃんを連れてここまで来ていた。
自分を犠牲にしてまでも、かっちゃんを守って…。
その時僕は全く動かなくて。
ヒーローのはずなのに、大切な幼なじみなのに、守る事が出来なかった。
それからあなたさんは僕らをずっと守ってくれた。
僕たちに攻撃が当たらないように…
かわりにあなたさんが攻撃をずっと受けていて…
速すぎて見えないくらい…、それぐらい激しく戦っていた。
ただ、あなたさんがやられてから女子の皆んなは、
ずっと目を隠していた。
それもそうか…あなたさんがやられてるんだもんな…。
本当は助けたかった。あなたさんの力になりたかった。でも、僕たちが行ったところで迷惑しかならない。それは他のみんなも分かっていて…
もちろん相澤先生も。
でも、そのとき僕は鬼殺隊の覚悟を、思いを
しれたような気がした。
「命に変えても守るものがある。」
その言葉の意味が、重さが。
僕たちヒーローも守る人がいる。
ただ、僕たちの覚悟は生半端な覚悟なんだと…
守りたい、助けたい、その思いだけでは助けられるものも助けられないのだと…
そう、思い知らされた気がした。
そして僕は思った。
この人は「人殺し」なんかじゃない。
僕たちを守ってくれる立派な「ヒーロー」
なんだと。
とても同い年とは思えないくらい立派な「ヒーロー」だったんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。