第2話

〜第2話〜
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2018/05/04 08:46
ゆりあ,悲しかったんだろうけど,そろそろ立ち直らないとダメよ。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
うん....わかってる。
わかってるけど……罪を償えないのがつらい。


ゆっくりと階段を上がって自分の部屋に着くと、なんとなくホッとした。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
せめて、上着だけはきちんと返したかったな……
クローゼットにかかった薄い水色の上着を見ると、余計に悲しくなってくる。
返せばいいじゃん。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
ひゃっ!
私は驚くときに「ひゃっ!」って言うのが癖なのかな……


いや、それよりも……
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
だ、だれ?
誰もいないのに、部屋には人の声が響いていた。


まさか…ユーレイ!?
うん。ユーレイ。
私の考えを見透かしたように答えた“声”。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
ふぇぇ……呪い?ごめんなさい!なんでもするから呪わないで〜!!
誰が呪うかバカ。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
私はどうせバカですよぉ〜……あれ?この声どこかで……
あ、気づいた?
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
電車の男の子!
うん、そう。やっと気づいてもらえてよかったよ。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
よかった!生きてたんだね!
男の子
いや、生きてないから姿が見えないんでしょ。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
そっか〜……
私は再びガックリとうなだれた。
男の子
いや変なところで納得しないでよ。とにかく上を見て。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
え?
男の子
だから、ここだってば。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
え〜?どこ。
男の子
君、霊感ないの?
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
100%ない。
男の子
じゃあ僕の顔をよく思い浮かべて。
私は頭の中で、あの男の子の顔を思い浮かべてみた。


柔らかそうなふわっとした髪の毛に、少し切れ長の目。





それにあの時は寒かったから鼻の先が少し赤くなってた……


と、その時、目の前が真っ白になった。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
え?何!?なんなの〜!
男の子
落ち着いて。目を開けて。
うっすらと目を開けてみると、目の前には…
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
ネコ…
男の子
は?ネコ?
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
ネコが喋ってて浮いてる。
男の子
いや、俺だよ。“電車の男の子”。人間だ。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
でも、ネコだよ?
男の子
お前、俺の顔ちゃんと思い浮かべた?
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
多分思い出しきれなかったかも………
目の前にいるネコは『ふぅっ…』とため息をついた。
男の子
せっかく神に頼み込んでお前のところに送ってもらったのに何でネコにならなきゃいけないんだよ……
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
ん……?
ネコ(電車の男の子)いわく、一回死んで天国に行ったけれど、どうしてももう一度私に会いたいから地上に送り返してもらった、と。(長い……)
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
何で私に会いたかったの?
男の子
それは聞くな、バカ。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
またバカって……ネコさん、意外と口悪いね。
男の子
よく言われる。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
ところで、なんて呼べばいいの?
男の子
好きにしろ。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
じゃあネコさんでいいや。
ネコさん
単純かよ。まぁいいや。
ゆりあ〜?
下から階段を上る足音がした。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
お母さんだ!!
何1人でブツブツ喋ってるの?
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
隠れて!早く!お母さん、ネコが嫌いなの!
ネコさん
え?いや……あの…
ゆりあ?
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
何でもないの!ちょっと発声練習してただけ!
うわぁ…我ながら苦しい言い訳………


それなのにお母さんは……
へぇ!そうなの?頑張ってね。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
行っちゃった。
ネコさん
おい、お前……んぐっ!
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
え?
気づいたら私はネコさんを胸に抱きかかえる体制になっていた。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
きゃー!ネコさんのスケベ〜!
ネコさん
抱き抱えたのはお前だろ!んにゃ!!
思わずネコさんを殴り飛ばしてしまった。
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
あ、ごめんなさい!
ネコさん
いや大丈夫。それよりもティッシュをくれ………
月城  ゆりあ
月城 ゆりあ
鼻血!?ごめんなさい!強く殴りすぎちゃった……
ネコさん
これは俺のせいだから大丈夫……////
これから先が思いやられます……

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