わかってるけど……罪を償えないのがつらい。
ゆっくりと階段を上がって自分の部屋に着くと、なんとなくホッとした。
クローゼットにかかった薄い水色の上着を見ると、余計に悲しくなってくる。
私は驚くときに「ひゃっ!」って言うのが癖なのかな……
いや、それよりも……
誰もいないのに、部屋には人の声が響いていた。
まさか…ユーレイ!?
私の考えを見透かしたように答えた“声”。
私は再びガックリとうなだれた。
私は頭の中で、あの男の子の顔を思い浮かべてみた。
柔らかそうなふわっとした髪の毛に、少し切れ長の目。
それにあの時は寒かったから鼻の先が少し赤くなってた……
と、その時、目の前が真っ白になった。
うっすらと目を開けてみると、目の前には…
目の前にいるネコは『ふぅっ…』とため息をついた。
ネコ(電車の男の子)いわく、一回死んで天国に行ったけれど、どうしてももう一度私に会いたいから地上に送り返してもらった、と。(長い……)
下から階段を上る足音がした。
うわぁ…我ながら苦しい言い訳………
それなのにお母さんは……
気づいたら私はネコさんを胸に抱きかかえる体制になっていた。
思わずネコさんを殴り飛ばしてしまった。
これから先が思いやられます……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!