第4話

4話 最悪な会話
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2021/03/23 09:09
桜も散り終わり、空には大きな雲が流れている。

そんなある日…俺達はいつものように
屋上で昼休みを過ごしていた。
白玉 悠里
白玉 悠里
もぐもぐ…
京極 一冴
京極 一冴
何?そのグロい食べ物は?
白玉 悠里
白玉 悠里
ああ、バナナだよ
京極 一冴
京極 一冴
それが、バナナ?
白玉 悠里
白玉 悠里
空気に触れて、真っ黒になった
だけだから大丈夫…
京極 一冴
京極 一冴
お、おう…
白玉は、ニコッと笑うと
再び真顔で、黒い物体を食べ始めた。
京極 一冴
京極 一冴
そういえば、最近は
豪華な弁当じゃなくなっんだな・・・
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・!
白玉 悠里
白玉 悠里
え?あ、そ…そうだっけ
京極 一冴
京極 一冴
そうだよ、最初会ったときは、
めちゃくちゃデカい
お重みたいなの食べてただろ?
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・
京極 一冴
京極 一冴
その次は、豪華なエビにカニ。
他には、ケーキが丸ごとデザートに
持ってきてた時もあったな…
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・・・・よく覚えてるなあ
京極 一冴
京極 一冴
もしかしてさ、白玉の家
金持ちなの?
白玉 悠里
白玉 悠里
京極 一冴
京極 一冴
ま、他人の家のことだから
どうでも良いけどよ
京極 一冴
京極 一冴
毎日そんなの食ってたら、腹が
もたれそうだなとかは、思うけどね
俺は寝転ぶと、ゴロリと寝返って
くあ〜とあくびをする。
白玉 悠里
白玉 悠里
私の家、べつにお金持ちじゃないもの…
京極 一冴
京極 一冴
ふーん
その後会話が無く、俺が気がついた時
白玉は、かなり落ち込んでるような表情をしていた。
白玉 悠里
白玉 悠里
じゃ、またね
京極 一冴
京極 一冴
おー
その後俺たちは、バラバラのクラスに
戻り授業を受けた。

授業が終わり、教室を出ると
数人の女子が輪を囲み、ヒソヒソと
何かを話していた。

「白玉さん」というワードが
聞こえたので、俺は女子達の方に顔を向けた。
女子
女子
ねえ、ねえ!
見た!?
女子
女子
あっ、見た見た!
女子
女子
また、新しいバックだったね?
それも新作だよ…
女子
女子
こないだなんて、スマホ
何代目だよってぐらい
すぐ新機種に変わるしさ
女子
女子
庶民見下すのも、
良い加減にしてほしいよね
京極 一冴
京極 一冴
・・・?
女子
女子
お金持ちのお嬢様なのか
何なのか知らないけど
女子
女子
ちょっと変わってるし
好きなもの全部キモいのだしね〜
女子
女子
ああ、わかる!
なんか不細工な奴ばっか
集めてるんでしょ?
女子
女子
そうそう、少しは
常識わきまえろよって感じ?
女子
女子
アハハ、人気チャート
みろよ!ってね
女子
女子
もー、本人来るから
やめようよ〜
京極 一冴
京極 一冴
・・・
何だろう、そうだな。
確かにあいつらが言ってる事は、
納得することもある…

だけど、みんなと違うのが好きなことって、
そんなに悪いことなのか?
俺が、その場から通り過ぎようとした時…
また別の女子グループの話声が聞こえた。
女子
女子
てかさ、最近屋上に
なんか人が居るらしいよ?
女子
女子
ああ、知ってる〜
女子
女子
なんか、カラスみたいな
ガサガサ声の音痴なキモい歌が
聞こえるんだって〜
女子
女子
何それ、こわいんですけど…
京極 一冴
京極 一冴
・・・(俺だ)
女子
女子
誰か知らないけど、そんな奴に
名曲歌って欲しくないんですけど?
女子
女子
歌が汚れるっつうの
京極 一冴
京極 一冴
・・・
女子
女子
歌わないでほしいわ〜
女子
女子
それなー
女子
女子
アハハハ、同感〜
京極 一冴
京極 一冴
・・・
汚れるね・・・

歌、歌うのもうやめようかな。
白玉 悠里
白玉 悠里
京極 一冴
京極 一冴
・・・
白玉 悠里
白玉 悠里
お〜い、京極きょうごく君!
京極 一冴
京極 一冴
・・・白玉しらたま
白玉 悠里
白玉 悠里
次、移動教室?
京極 一冴
京極 一冴
・・・・・・・・なあ
白玉 悠里
白玉 悠里
京極 一冴
京極 一冴
お前、やっぱり金持ちの
お嬢様なんだな
白玉 悠里
白玉 悠里
京極 一冴
京極 一冴
俺の歌、きもいきもいって
思いながら聞いてたの?
白玉 悠里
白玉 悠里
え?何が
京極 一冴
京極 一冴
もう、屋上へは行かない
京極 一冴
京極 一冴
お前にも、会わない
京極 一冴
京極 一冴
じゃあな
白玉 悠里
白玉 悠里
何それ!意味がわかんないよ
白玉 悠里
白玉 悠里
どうして、そうなるの
白玉 悠里
白玉 悠里
ちょっと!!
俺の手を掴んだ白玉の手を弾いて
俺はズカズカと教室に戻った。

それに気づいた周りの生徒が
一瞬ざわついたけど、すぐさま元に戻った。
京極 一冴
京極 一冴
・・・
俺のせいで、白玉に迷惑がかかるなんて嫌だ。

それに、俺の歌をキモイキモイと
女子に変な噂話されるのは、もっと嫌だ。

最悪・・・
早坂 光貴
早坂 光貴
何やってんだよ
早坂 光貴
早坂 光貴
お前は…
京極 一冴
京極 一冴
何もしてねえよ
早坂 光貴
早坂 光貴
嘘つきめ
早坂 光貴
早坂 光貴
騙されないからな
京極 一冴
京極 一冴
・・・最悪
その日一日、気分はガタ落ち。

白玉に会えなくなるとか、傷つけたとか
考える余裕もないまま、ただただ
1日は過ぎていった。
早坂 光貴
早坂 光貴
(何やってんだ?こいつ)
早坂 光貴
早坂 光貴
(自分で何でも、
決めるのが癖だからな)
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・・
白玉 悠里
白玉 悠里
(私のせいだ・・・)
「お嬢様ぶってんじゃねえよ!!」

「本当は、バカにしてるんだろ」

「お前といると、こっちがダメージ
なんだわ」

「また、あの子一人ね」
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・
私はいつも、ひとりぼっち。
何かを望んでは、いけなかったのだ。
京極 一冴
京極 一冴
「「お前にも、もう会わない」」
京極 一冴
京極 一冴
「「じゃあな」」
白玉 悠里
白玉 悠里
・・・・・・・・・

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