桜も散り終わり、空には大きな雲が流れている。
そんなある日…俺達はいつものように
屋上で昼休みを過ごしていた。
白玉は、ニコッと笑うと
再び真顔で、黒い物体を食べ始めた。
俺は寝転ぶと、ゴロリと寝返って
くあ〜とあくびをする。
その後会話が無く、俺が気がついた時
白玉は、かなり落ち込んでるような表情をしていた。
その後俺たちは、バラバラのクラスに
戻り授業を受けた。
授業が終わり、教室を出ると
数人の女子が輪を囲み、ヒソヒソと
何かを話していた。
「白玉さん」というワードが
聞こえたので、俺は女子達の方に顔を向けた。
何だろう、そうだな。
確かにあいつらが言ってる事は、
納得することもある…
だけど、みんなと違うのが好きなことって、
そんなに悪いことなのか?
俺が、その場から通り過ぎようとした時…
また別の女子グループの話声が聞こえた。
汚れるね・・・
歌、歌うのもうやめようかな。
俺の手を掴んだ白玉の手を弾いて
俺はズカズカと教室に戻った。
それに気づいた周りの生徒が
一瞬ざわついたけど、すぐさま元に戻った。
俺のせいで、白玉に迷惑がかかるなんて嫌だ。
それに、俺の歌をキモイキモイと
女子に変な噂話されるのは、もっと嫌だ。
最悪・・・
その日一日、気分はガタ落ち。
白玉に会えなくなるとか、傷つけたとか
考える余裕もないまま、ただただ
1日は過ぎていった。
「お嬢様ぶってんじゃねえよ!!」
「本当は、バカにしてるんだろ」
「お前といると、こっちがダメージ
なんだわ」
「また、あの子一人ね」
私はいつも、ひとりぼっち。
何かを望んでは、いけなかったのだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。