僕のとこのバレー部にはマネージャーはいなかった
僕はマネージャーほしい!って言ったんだよ?
でも、岩ちゃんが「今学校にいる女子全員お前目当てでキャーキャーうるさいからいらない」って言ったんだ!
だから、いなかった
新しい春
僕らは今年最後の年
どんな選手がくるかな〜って思ってた
すると、岩ちゃんがいきなり
「お前、マネージャーほしい!って言ってだろ」
「…つれてきた」と言った
もちろん僕は固まった
一瞬岩ちゃんが言ってる意味が分からなかった
と可愛らしい声が僕の耳に届いた
体育館入口から
ピンクがかった髪にほんのり赤い目をして肌がしろくおとなしそうな見た目をしたとても可愛い女の子がはいってきた
ほんとに高校生か?と思うほどの小ささでボールの流れ弾に当たると死んでしまうんじゃないかと思った
僕は息をのんだ
僕は驚いた
キミが対人パスできるだなんてびっくりした
キミはニカッと笑った
僕はキミの笑顔に惹き付けられた
その日はあいにくの曇りだったんだけど
なぜか、キミのまわりがキラキラしてみえて
僕はそのとき生まれてはじめて一目惚れした
キミに恋をした
キミを振り向かせたかった
僕はキミの「特別」になりたかった
なんとかお願いして下の名前で呼んでもらった
はじめて呼んでもらったときは嬉しすぎて
全然寝れなくて夜遅くまで起きてた
次の日、朝練に遅刻して岩ちゃんに怒られちゃった(๑´ڡ`๑)テヘ
でも、事件が起きた
僕があなたに近づきすぎたんだ
だからあなたはいじめられるようになってきたらしい
僕は全く気づかなかった
キミは前と変わらず笑顔でマネージャーの仕事をやってた
僕が気づければよかった
いや、気づかなければいけなかったんだ
最初は警告だけだったらしい
だけどあなたは
と言い返したそうだ
それから悪化していったらしい
国見にだけ相談してどうにか僕に気づかれないようにしてた
でも、僕はある日その現場を目撃した
キミは「ヤメテ」と泣いていた
僕は許せなかった
気づけなかった僕もキミをいじめていたやつらも
いじめていたやつらは去っていった
ーおぼえてろよ!ー
とあなたの耳元でつぶやいていたそうだ
キミはなおも笑顔で
と言っていた
僕はなんで気づいてやれなかったんだと悔やんだ
僕が近づいただけなのになんでキミが辛い目にあわないといけないんだと思った
それでもその日の部活にキミは笑顔でやってきた
キミはすごいなと思った
でも、その数日後彼女は左うでに包帯を巻いてやってきた
どうしたの?と僕が聞くと
キミは
と言った
僕はただほんとにコケただけなんだと思った
でも、あとで国見から左うでのすべてを聞かせられた
階段から突き飛ばされころげたあとカッターで腕を切られた
そう聞いた時に
また気づいてやれなかったと
涙が溢れてきた
僕は謝りに行った
キミを探していると金田一が校長室に居ますよと教えてくれた
なぜ校長室にいるのかと気になった
僕が校長室に行くとキミは
「失礼しました」と言ってでてきた
キミは僕に気づくと
申し訳なさそうな声でつぶやいた
僕は頭が真っ白になった
キミが僕から離れてしまう
会うのが難しくなってしまう
へたしたら会えなくなる
でも、キミは僕のせいでたくさん傷ついた
数えきれないほど我慢してきただろう
今度は僕が我慢する番だ
キミは小さな手で僕の頭を撫でてくれた
必死に背伸びして
その小さな手がとても心地よく
安心できた
体育館まで行くまで
沈黙になった
僕は転校と聞いた時からずっと聞きたいことがあった
遠い…
簡単に会いに行けなくて
また涙が溢れだしそうになった
烏野高校…
近くて
会おうと思えば会える距離に行くと知り
少し安心した
そしてお別れの日が来てしまった
僕はふと思った
“君の目に僕はどう映ってたの?”
でも、それは今度あったときに聞こうと思った
ほんとにごめん…
苦しめたよね…
つづく
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!