杉元とあなたは驚いた
先程2人を殺そうとした後藤が、雪に埋もれていたのだ
杉元と協力して後藤を引っ張り出した
後藤は、はらわたが無くなっていた
すぐそばに、ヒグマの足跡があった
食いきれない獲物は土をかぶされ土饅頭にされる。
ヒグマの土饅頭は「おれのものだ」という宣言である。
杉元が後藤の首元を触りながら喋っていると
突然杉元が後藤の着ていた服を脱がした
後藤の背中には、ヤクザのモンモンとは違う入れ墨が書かれていた
杉元とあなたは辺りをキョロキョロと見回した
途端、ばりっ、と音がした
音がした方へと首をむけると
そこには木にしがみついている小熊がいた。
『近くに母熊がいるのでは....』
「フォ"ォ"ォ"ォ"ォ"!!!!」
親熊が、いた。
杉元が咄嗟に持っていた銃をヒグマに向けようとしたが
負い革が足に引っかかってしまった
ヒグマは、あなたと杉元に向かって走ってきた
野生の鹿も追いかけて仕留める恐るべき瞬発力と持久力。
ヒグマが時速60キロのトラックと並走し続けた証言もある。
すると、運良く雪で足場が悪かったおかげで2人は
ゴロゴロと雪の坂を転がってゆき、倒木によって止まった
2人のすぐ後ろに、もうヒグマはいた
「食われる」と覚悟した2人だったが、突然矢が飛んできてヒグマに刺さった
「ギャア"ッ!!」
2人は矢が飛んできた方を見た
そこにいたのは、アイヌの少女だった。
ヒグマは悶え苦しんでいる
アイヌ民族の毒矢には効力を強めるために様々な物が混合されその製法は各家で異なり秘伝として受け継がれてきた。
そしてしばらくして、ヒグマは死んだ。
するとアイヌの少女が刃物を取り出し、ヒグマに近寄った
アイヌの少女が、後藤に目を移した
アイヌの少女がヒグマの腹を斬り、胃を見た
アイヌの少女は黙ったままだ
そして薪を集め、火をおこした。
そして杉元が死体を明かりに近づけようとした時、アイヌの少女の顔色が変わった。
アイヌの少女は、死体の入れ墨を指さした。
あなたは絶句した
杉元は銃を構え、あなたは短針を構えた。
近くで鳴いている羆の声を、3人はまだ知らない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。