1週間後、約束どおりお兄ちゃんの家に行った。
家には、お兄ちゃん1人だけだった。
玄関が開いて出迎えてくれたのは、もちろんお兄ちゃん。
「いらっしゃい」
「おじゃまします。レナちゃんは……」
「習字に行ったばかりだから、しばらく帰らないよ。ほら、あがって」
「うん」
さっそくお兄ちゃんの部屋に行った。
お兄ちゃんの部屋はなんだかおしゃれで格好良かった。
難しそうな本とか、いっぱいあった。
華には、読めない。
本棚にある本を一冊手に取ってみた。
「りょうき、てき、なさつじん?」
「華ちゃん、なにしてるの?」
「お兄ちゃん、どんな本読んでるのかなって。これは何の本?」
「華ちゃんにはまだ難しいかな。それよりおいで」
「うん」
お兄ちゃんがベッドであぐらをかく。
その上に、私はのせられた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。