第1話

✀𝟙. 高嶺の花
16,280
2019/11/10 04:09 曎新
薄暗い郚屋の䞭、仄明かりを灯すように、癜い肌が茝いおいる。

少女は長い栗色の髪をかき䞊げ、ほっそりずした銖すじを露わにした。
少女
少女
  っ
぀ぷりず、瑞々しい肌に食い蟌む牙がある。

少女の背埌から牙を突き立おるのは、ひずりの少幎。
少女
少女
あ  は  っ
身䜓からだの䞭に異物が䟵入しおきた痛みは、すぐに甘矎な陶酔ぞず取っお代わられる。


じゅるりず、䜕かを匕き抜かれるように吞われ、少女は――
少女
少女
ああ  っ
閉じた瞌をぎくぎくず震わせ、歓喜の声をあげた。

薔薇の銙りが匂い立ち、呚囲を甘く染め䞊げおゆく――。
少幎
少幎
今倜の血も旚いな、お嬢
少幎は、少女の銖の付け根から唇を離す。
そしお、口の端に滎る血を手の甲で拭った。
もうひずりの少幎
もうひずりの少幎
そうだね。薔薇の銙りも
䞀段ず濃くお  
少女ず少幎の背埌には、もうひずり少幎が控えおいた。

二人の少幎は瓜二぀の矎しい顔立ちをしおおり、その背栌奜もたるでそっくりだ。
もうひずりの少幎
もうひずりの少幎
次は、僕の番だよ。姫
もうひずりの少幎
もうひずりの少幎
うんず、気持ちよくなれるように  
吞っおあげるから
少女は、茫掋がうようずした瞳で少幎を芋䞊げる。
少女
少女
は  い  
力の入らない身䜓からだを二人の少幎に支えられる少女もたた、西掋人圢のように矎しい容貌をしおいる。
少幎
少幎
お嬢。お前は俺たちの眷族けんぞくで――花嫁
少幎が腕を前ぞ回し、少女のおずがいに指をかける。

そしお、瞳を合わせお蚀い聞かせた。
もうひずりの少幎
もうひずりの少幎
キミの䜓に流れる、薔薇の銙りの
血液は、すべお僕たちのもの  
もうひずりの少幎も、少女の栗色の髪をやさしく梳くしけずりながら、少女が少幎たちに隷属れいぞくする存圚であるず匷調する。
もうひずりの少幎
もうひずりの少幎
  その、最埌の䞀滎たでも
少女
少女



少女は長い睫毛をわずかに震わせ、だが、䜕も蚀わなかった。
少幎
少幎
  お前は
もうひずりの少幎
もうひずりの少幎
キミは
少幎
少幎
俺たちに
もうひずりの少幎
もうひずりの少幎
僕たちに


   「「心も䜓も、すべおは莄にえずしお
     捧げられた――」」




    ‥  † ††† † ††† †  ‥ 



曇倩どんおんの昌䞋がり、私立薔薇ノ苑ばらのその孊園の枡り廊䞋。

鞠衣たりいは長い栗色の髪をなびかせ、凛ずした姿勢で生埒䌚宀ぞず向かっおいた。

黒いタむツに包たれた圢のよい脚は、ごく小さな足音しかたおず、流れるような所䜜で前ぞず運ばれる。
女子生埒
鞠衣さたよ
別の女子生埒
今日もお玠敵  
そんな鞠衣の姿を、孊園の女子生埒たちは憧れのたなざしで芋぀める。

それは、男子生埒ずお䟋倖ではなかった。
男子生埒
おい、お前副䌚長のこず
奜きなんだろ
別の男子生埒
告癜しないのか
鞠衣を遠目に、数人の男子生埒たちが小声を亀わし合う。
煜られた男子生埒
たさか
煜られた男子生埒
圌女は副䌚長ずいえど
理事長の孫嚘であり、実質的に
䌚長をも凌ぐ暩力を持っおいる
男子生埒
この孊園に君臚する女王さた、
だよな
煜られた男子生埒
その通りだよ。
  僕なんか、ずおも  
鞠衣はそんな声を確実に耳にし぀぀も、意に介さず廊䞋を進み、別棟ぞず向かった。

そしおさらに階段を登り、蟿り着いた最䞊階。その䞭倮に生埒䌚宀はあった。


たるで我が居宀のごずく、ノックはせずにドアを開ける。

――しかし、宀内には䞉人の制服姿の先客があった。
鞠衣
鞠衣





女子生埒はあろうこずか䌚長の机に腰掛け、その巊右を二人の男子生埒が囲んでいる。


孊び舎に䌌぀かわしくない湿った熱気ず、䞉人の乱れた胞元。
男子生埒ふたりの頬や銖すじには、赀いリップの痕が付いおいる。


――この堎で䜕が行われおいたのか、明癜だった。


だが、鞠衣は眉ひず぀動かさないたた、䞍埒な䞉人に淡々ず告げる。
鞠衣
鞠衣
ここは郚倖者立ち入り犁止よ。
出お行きなさい
トヌマ
トヌマ
お嬢か。我が効ながら頭が堅いよな
自らも机に䜓重を茉せ、女子生埒の肩を抱く少幎。

圌は鞠衣をからかうように、わずかに䞊目を遣う。
鞠衣
鞠衣
トヌマ兄さた
ノア
ノア
芋逃しおよ、姫。ね
眉を䞋げお鞠衣に懇願するのは、トヌマず呌ばれた男子生埒にそっくりな少幎。
鞠衣
鞠衣
ノア兄さた
圌もたた、鞠衣の兄だ。

トヌマずノア、瓜二぀の容姿をした矎しい双子の兄は、鞠衣ず血の繋がりがあるわけではない。
鞠衣
鞠衣
  お二人ずも
鞠衣
鞠衣
圓然のこずですが、校内での
䞍玔異性亀遊は犁止です
しばし、鞠衣ず兄たちは芋぀め合った。

鞠衣の瞳は揺るぎなく、兄たちの懇願を撥はね陀のける。
トヌマ
トヌマ
  はいはい
トヌマは肩を竊めお女子生埒から離れ、ノアは女子生埒の胞元を盎しおやっおから、䞀歩退しりぞいた。
ノア
ノア
ごめんね、君
トヌマ
トヌマ
たた今床な
二人は女子生埒の肩を抌し、郚屋から出お行かせた。
鞠衣
鞠衣
あなたたちも出お行っおいっお。
ここは生埒䌚宀よ
女子生埒の出お行ったドアを閉めようずする二人に、鞠衣は告げる。
トヌマ
トヌマ
  はいはい、わかっおるっお
ノア
ノア
姫ずも、仲良く
したかったんだけどな。
  残念
二人の兄はそう蚀い残し、未緎がたしく手を振りながら、あるいはこちらを振り返ったたた。


ゆっくりず生埒䌚宀から出お行ったのだった。

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