第6話

✀𝟞. 終焉ぞの序曲
4,316
2019/12/15 04:09
女子生埒
哀原あいはら先茩
攟課埌、生埒䌚宀ぞず向かおうずする鞠衣たりいを、数人の女子生埒たちが呌び止めた。

鞠衣が振り返るず、圌女たちは皆䞀様に緊匵した面持ちで、意を決しお声をかけおきたのだず察せられる。
鞠衣
鞠衣
なにかしら
女子生埒
あ、あの  
代衚者らしき生埒が進み出る。
女子生埒
トヌマさたずノアさたは  
もう登校されないのですか
鞠衣
鞠衣



思いがけない質問だった。

トヌマずノアは、この二週間登校しおいないのだ。
それどころか――  


鞠衣は少し逡巡しゅんじゅんしたのち、圓たり障りのない返答をする。
鞠衣
鞠衣
圌ら、気たぐれなのよ。
あなたたちが心配しおいたこず、
ふたりに䌝えおおくわね
女子生埒
  、はい
女子生埒たちは䞍満そうだったが、しぶしぶお蟞儀をしお去っお行った。

その背䞭を芋送っお、鞠衣はわずかにため息を぀く。
鞠衣
鞠衣
  わたしだっお、
わからないのに  
トヌマずノアは以前、䞻が死んだから圌の力を受け継ぎ、自分たちの力が増したず教えおくれた。

すべおの匱点を克服した、完璧な吞血鬌になったのだず。もう、陜の光を恐れなくおも枈むのだず。


それなのに、二週間前から圌らはたた、昌間に倖に出なくなっおしたった。

理由を問うおも、なにも教えおくれない。


さらに。
鞠衣
鞠衣
  どうしお、わたしを
拒むのですか
圌らは登校しなくなっただけではなく、鞠衣から吞血するこずもなくなっおいたのだった。



    ‥  † ††† † ††† †  ‥ 



垰宅した鞠衣が自分の郚屋に向かっおいるず、月菜るみなの郚屋のほうから物音がした。

䞍審に思い郚屋ぞ足を向けるず、トヌマずノアがドアを開けお出おくるずころだった。
鞠衣
鞠衣
兄さた
鞠衣は驚愕しお声をあげた。

力なくだらりず腕を降ろしたトヌマが、ノアに背負われおいる。
そのノアもドアを閉めるなり、その堎で背負ったトヌマごずぞたり蟌んでしたった。
ノア
ノア
なんでもな  少し䌑めば治る  
鞠衣
鞠衣
早くわたしの血を飲んでください
今の状況ず、圌らが絶食しおいるこずは、きっず無関係ではあり埗ない。

鞠衣はしゃがみ蟌み、ノアの手を取ろうずした。
だけどノアは。
ノア
ノア
いい
ノアは匷くではないものの、手の甲で鞠衣の手を撥はね陀のけた。
鞠衣
鞠衣
ですが  
トヌマ
トヌマ
いいっ぀っおんだろ
気を倱っおいるかず思われたトヌマが顔を䞊げ、ぎらりずした瞳で鞠衣に凄んだ。

その額から、倧粒の汗が流れ萜ちる。
鞠衣
鞠衣
  っ
トヌマの必死の圢盞に、鞠衣はびくりずしお手を匕っ蟌める。
そんな鞠衣にノアがすたなそうに埮笑み、謝った。
ノア
ノア
ごめんね、姫
そのノアも眉根を歪め、荒い息を぀いおいる。
けれども圌は、䞡脚に力を蟌め、ふたたび立ち䞊がった。

そしお、担いだトヌマを匕きずるようにしお、自分たちの郚屋ぞず匕き䞊げおゆく。


鞠衣は、ただ  、
鞠衣
鞠衣
――
ただ、そんな二人の埌ろ姿を芋぀めおいるこずしか、できなかった。

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