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2018/07/26

第2話

大好きだから、また会える
 「久しぶり。」
と笑った顔は、昔と同じ。陽馬だ。間違いなく。
「おっす!俺もいるよ!あれ聞いてる?お二人さん?」
「いいの!ちょっと葉山は黙ってて。」
「ねぇそろそろ名前で呼ばない?和輝(カズキ)って。」
ねぇねぇと言う葉山に、美都花はしーっ!!と口に指をたてて注意している。
私の視界には目の前の陽馬しか入って来なかった。
「ひ、久しぶり・・・?」
しばらくして答えた返事は、動揺し過ぎてイントネーションがおかしかった。
そんな私たちの空気を花火が遮った。

ドーーーン   ドーーーンパラパラパラ

いきなりの音に、肩がビクッとはねあがった。
「とりあえず・・・花火見る?始まっちゃったし。」
「・・・。」
黙ることしか出来なかった私に、隣から美都花がそっと話しかけてくれた。
「そうだね。花火見よっか。陽馬と葉山もレジャーシートもう一枚あるからどうぞ。幸い二人ぶんぐらいはスペースあるし!」
「ありがとう。」
「あざーす!」
二人が座ってなぜか私と陽馬が隣になってしまった。き、気まずい・・・。

ドーーーン ドドーン ヒューードドーン

そんな私たちにお構いなしに花火は打ち上がる。すると、陽馬が口を開いた。
「そういやさ、5年前した約束覚えてる?」
「え、覚えてない。」
「全然?」
「全然。」
一瞬驚いた顔をしたが、陽馬はすぐに話し出した。
 「5年前さ、だから中2の頃かな。この祭りに二人で来たとき、最初の方に屋台回ってただろ?」
「うん。」
「その途中で、夏蓮が『もし私たちが別れても運命が私たちを引き寄せてくれる。私、陽馬のこと大好きだから、絶対会える。』って・・・。」
「言って・・・た・・?」
私が恐る恐る聞くと、案の定
「言ってた。」
と陽馬は大きく頷いた。私はあまりの恥ずかしさに顔を前に戻した。そんな恥ずかしい事を中2の私はなぜ言えたのか!?心の中では恥ずかしさからキャーと叫ぶ私がいた。
「夏蓮って予言者?」
「え?何を急に!?違うよ~。」
「フフっ、って今日会って思った。」
そう笑った陽馬は話を続けた。
「それであの時、俺自信無くてなんかすごくネガティブになってて別れる覚悟をしてたんだ。それがバレてるって焦った。また少し歩き出したら、夏蓮が『再会するなら多分このお祭り!成長した二人がこのお祭りで会ってまた二人の日々が始まるの!』ってはしゃいでて。思わず『漫画の見すぎ』って俺言ってて。」
もう恥ずかしさで穴があったら入りたい気持ちだった。
「で、今日は俺たち再会した。」
その話から察するに、再会したからまた付き合いだす。みたいな感じだよね、きっと。私はきちんと今の気持ちを伝えなければならないと分かっていた。だけど上手く言葉が出てこない。
「でも…何て言うか…まだ、気持ち…切り替えられな…くて…。」
「うん。俺だって信じてなかったし。今彼女いるし。切り替えられてねぇよ。」
「へぇ・・・彼女!?」
「うん・・・?そりゃ5年もあれば変わるだろ。」
私は目を見開いて呆然としてしまった。私なんて5年間告白されるなんて無かったし…。ちょっと心の中で不満をこぼした。そしてまた前に向きを変える。
 気がつくと私たちは花火そっちのけで話に没頭していた。花火の紹介を告げるアナウンスが
≪最後は色とりどりのロケット花火をこの夏流行った音楽と共にお送りします。株式会社◯◯◯ スターマインです!≫
と話終わって私は急いで耳を軽く塞いだ。昔からロケット花火の大きな音だけは苦手だ。心臓にドンドン響いて怖い上に、でかい。
すると、ポンポンと頭を髪の毛が崩れない程度に叩かれた。
「あの時も苦手だったもんな、夏蓮は。俺のヘッドフォン着ける?」
鞄からヘッドフォンを取り出そうとする陽馬に私は
「大丈夫。」
とだけ告げて、花火の打ち上がる方向を見た。私は顔全体に血がまわるような勢いを感じた。カァーっと顔が熱くなった。ヘッドフォン借りとけば良かったな、なんて思ったけれど、花火の音よりも心臓の音がうるさくて仕方がなかった。