◯◯side
テヒョンからもらったお金を握りながらタクシーの中で考える
今日はたまたま遅くまで仕事が延びてしまった
カイロを握りしめ、冷えた夜の街を歩いていた時に
という声が聞こえ、思わず振り返ってしまった私
そこには全身真っ黒で長身の男の人が寒そうに手を温めている
そんな彼に偶然にも持ってきていた予備のカイロを渡したら
連絡先を聞かれたというわけだ
マスク越しでも分かるほどいい笑顔で気さくに話してくれた
とても優しい人だったけど、時より不思議なことを言ってたりㅎㅎ
そしてなによりも帽子の下から僅かに覗く目が印象的だった
見る人を全て惹き付けるような綺麗な目
思わず見とれてしまった
と言われた時は流石に驚いた
いくら優しい人だとしても初対面の私たち
一度は軽く断ってみるがそれでも交換してほしいと言う彼
今までと違い真剣な表情でこちらを見ている
そして気づけば連絡先を交換していた
いつもだったら絶対に断っていたのに、これには自分自身にも驚いた
けれど目の前の彼がとても嬉しそうに喜ぶから思わず笑ってしまうㅎ
彼の名前はテヒョンというらしい
またいつか会える日が来るのかな?
そう考えていると、いつの間にかマンションに着いていた
タクシーを降りて自分の部屋まで歩く
テヒョンと話すのはとても楽しく自然と笑顔になれた
今日初めて会ったのに不思議だ
家に入り手を洗ってソファーに座る
そして何気なくスマホを見るとテヒョンからの通知
忘れたり変な人に捕まることもないのに何故か必死なテヒョン
なんだか表情まで想像できちゃうㅎㅎㅎ
テヒョンとの会話も終わって私も寝る準備をする
不思議な1日だったけどなんだか楽しくて気持ちよく寝れた
そして次の日の朝、私は思いっきり寝坊した
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。