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いもむしside
今日一日中、お酒の勢いに任せた言葉を淡々と言っている。
酷いのは僕じゃない。アイツらが悪いから。
1日前
新しい服を買うためにデパートに立ち寄った。
そこに居たのは
ピンさんとこうたんだった。
あんまり近ずきたくなかったけど、行きたいお店がその通路からしか行けないため仕方なく後ろからついて行く。
周りの声でピンさんとこうたんの会話が聞こえずらい。
別に盗み聞きしてる訳じゃ無いし、
ピンさんがこうたんに質問を投げかける
俺の事?
なんでそんなこと聞くんだよ。
心のどこかで期待をしていた。
僕はこうたんが好きだから、こうたんも同じだろうと…
咄嗟に声が漏れる。
なぜかな。裏切られたような辛いような悲しいような怒りの気持ちが鳴り止まない。
こうたんにあって、僕に無いもの……
人を避けること……?
俺にはこうたんしか居ないけど、こうたんには沢山の人が居るもんな…
いつでも別れられるってこと…?
僕は服のことも忘れてデパートを飛び出した。
そこに居るのが、そこで聞くのが怖かった。
結構僕は臆病者なんだ。
家に帰って、とりあえずお風呂に入って着替えることにした。
洗面台に着くと気持ち悪い顔をした自分が写った。
こんなだから、こうたんが避けたいって思っているのかも。
お風呂に入ったら、お酒を机に4本くらい置いた。
この行為に特に意味は無い。
なんなら温くなるだけだ。
今の俺にはこれが無いとやってられないから
お酒の種類は、瓶ビール。
これは誰にも止められない。
専用工具で蓋を開けると、お酒のいい匂い。
コップに入れて、一口で飲み干す。
飲んだ時のこの味。
やっぱり落ち着く味たって思う。
飲む度になんだか悲しくなるような感情が出てくる。
自分が自分じゃなくなる瞬間だ。
3杯。4杯。2本目。3本目。と多くなってくうちに目の前が回り始める。
もう色々と疲れきっていた僕はそのまま横たわり寝た。
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こうたんside
ピンと買い物に行って、いもむしが好きなブランドの服を買ったからあげようかと思っていもむしの家に合鍵で入ってみたらこれ。
やけ酒だね…
体を左右に揺らすと、ドスの効いた声で威嚇してくるいもむし。
すごい飲んでるし、てか3本飲んだの?!
やば…お水持ってこよ
机には3本と、飲みかけの瓶ビールが1本置いてあった。
相当飲んでいることが分かる。
お水を台所から持ってくるとまた寝てる。
いつもの酔ってるいもむし。
今回はちょっと怒ってるんだろうけど、泣き跡があるから泣いてたんだね
乱暴だけど飲むのね。
飲む度にいもむしがお水こぼすから、服が濡れていく。
えっちぃな
は?何言ってんの
僕はいもむしの全て、髪先から足の爪まで愛してるのに。
『僕の事なんてすぐに捨てられる状態なんだろ…』
「いや…マジでないと思…」
「いや!いもむしが僕を……訳ないじゃん!!!」
「まぁ、僕はいもむしの事…られるけどね」
……なーんだ
心配して損した気分
はぁ…聞き間違いでやけ酒とか可愛いかよ。
マジで身が持たないからやめて欲しい所だね
またもや床に倒れ込むいもむし。
ポロポロと涙を流していた。
……あっ!いいこと思いついた!!
顎をもち、くぃっと上に持上げる。
そして口にキスして。
真っ赤になるいもむしを前に写真を1枚とった。
こうして、こうたんの疑いは晴れて、いもむしの可愛いキスシーンもいい角度で取れた。
一件落着だね!
今日も一日平和です!
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数時間後……
ピンさんとところに1件のメールが送られてきた。
写真が1枚あり、そこにはこうたんといもむしがキスしてる写真であり、口元はハートで隠されていた。
メッセージには
〈見てよ、いもむしが僕を攻められる訳ないでしょ?
ピンさんのせいでいもむしがやけ酒しちゃったんだから、責任もって玩具買ってね。
もちろん、大人の玩具だから。
いもむしに使うやつ。
マジで高いやつな、覚悟してね!!ピンさん。〉
ピンさんはkunさんにその写真を送るのであった。
次の動画の内容が楽しみで仕方がないね
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!