第7話

泣かない約束
25
2019/03/24 12:25
カウンターの人
お友だちが来てるわよ
そう言われたときは、誰だろう?って思った。
まさか友達?って思ったけど、予想外の人が入ってきてビックリした。
そういえば、名前聞かなかったな。
でも、また来てくれるって言ってたし、次来てくれたら聞こう。
まだ、胸がドキドキしていた。

それは、体を痛めつけるドキドキではなく心を暖かくするものだった。
もしかして、彼のことが好きになったの?そう思うと、自然と頬が熱くなった。
一人では、初恋の気分に浸っているとドアが開きお母さんが入ってきた。
優衣香の母
優衣香...
お母さんはそれだけ言った。その一言にいろんな意味を感じた気がした。
優衣香(ユイカ)
お母さんは私のことどう思ってるの?
勇気をだしてそう言ってみた。
すると、お母さんは私の横に座り一息ついてから言った。
優衣香の母
宝物
どんどん、涙が溢れて頬を濡らした。
すると、お母さんは私の頭を優しく撫でて言った。
優衣香の母
世界一の宝物
優衣香(ユイカ)
じゃあ、私がいなくなったら悲しい?
優衣香の母
できれば、お母さんが変わってあげたい。
何もできなくてごめんね。
お母さんの言葉に、また一筋涙が頬を伝って手のひらに落ちた。
優衣香(ユイカ)
いつも、怒ってばかりでごめんなさい
優衣香の母
いいの。
お母さんはちゃんとわかってるから。
お母さんの目からも涙がこぼれ落ちた。
お母さんが泣く姿は見たくない。そう思った。お母さんは笑っていつも慰めてくれた。だから、ずっと笑っていてほしい。
優衣香(ユイカ)
ねえお母さん
私は右手の小指をたてた。
優衣香(ユイカ)
泣かない約束して
優衣香(ユイカ)
私がいなくなっても、ずっと笑顔でいる約束
優衣香の母
もちろん
そう言うと、お母さんは私を優しく抱きしめた。お母さんのぬくもりが私をそっと包み込んだ。

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