それから数日後、優衣香が亡くなったことを知らされた。
結局、奇跡は起こらず私の知らないうちに優衣香は旅立った。
新しい制服の袖を掴みながら言った。
深呼吸をして気持ちを整える。私は優衣香との最後の約束を破ったりなんかしない。
どんどん頬が熱くなっていく。
その時、秘羽がささやくように言った。
その一言を聞いた瞬間、恥ずかしくてどうしたらいいかわからなくなった。
とりあえず、目に入ったものを言ってみる。
その時、流れ星が落ちた。
それから、自分でも何を言っているのかわからなくなり思わずふきだした。
秘羽も笑いだす。
でも、本当に優衣香だったのかもしれない。私が約束をちゃんと守ったのか見に来たのかな?
なんだか、本当にそう思えてきた。
そう言って、もう一度空を見上げた。そして、今度は心の中で言った。
ありがとう。優衣香のこと、絶対に忘れないから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!