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第11話

優衣香が生きた十五年間
70
2019/03/24 14:48
それから数日後、優衣香が亡くなったことを知らされた。
結局、奇跡は起こらず私の知らないうちに優衣香は旅立った。
梨花(リカ)
ねえ、秘羽
新しい制服の袖を掴みながら言った。
秘羽(ヒワ)
どうした?
梨花(リカ)
秘羽のことさ
深呼吸をして気持ちを整える。私は優衣香との最後の約束を破ったりなんかしない。
梨花(リカ)
秘羽のこと、ずっと好きだったんだ
どんどん頬が熱くなっていく。
その時、秘羽がささやくように言った。
秘羽(ヒワ)
僕も
その一言を聞いた瞬間、恥ずかしくてどうしたらいいかわからなくなった。
梨花(リカ)
ほ...星きれいだね
とりあえず、目に入ったものを言ってみる。
秘羽(ヒワ)
うん...今日はいつもよりきれいだね
その時、流れ星が落ちた。
梨花(リカ)
あれ...優衣香だ
秘羽(ヒワ)
え?
梨花(リカ)
流れ星、優衣香みたいだったね
秘羽(ヒワ)
なんだよそれ
それから、自分でも何を言っているのかわからなくなり思わずふきだした。
秘羽も笑いだす。
でも、本当に優衣香だったのかもしれない。私が約束をちゃんと守ったのか見に来たのかな?
なんだか、本当にそう思えてきた。
梨花(リカ)
優衣香、背中を押してくれてありがとう
秘羽(ヒワ)
ん?...なんか言った?
梨花(リカ)
別に、何でもないよ
そう言って、もう一度空を見上げた。そして、今度は心の中で言った。
ありがとう。優衣香のこと、絶対に忘れないから。

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