第7話

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2019/12/15 13:25
 事が起こったのは、3日前。俺の周りで鈍い音がした。いつもなら、安全を確認してから部屋の外に出るのに、その日は気にも留めずミンギュに会いに行った。ノックをしドアを開けると彼の顔は驚きに満ちていた。

「…ひょん!!なんですか…その、血…!!!」

鏡を見ると、顔の左半分が血まみれだった。幸い、顔面からの出血ではなく、家具の出っ張りに腕をぶつけて深く傷ついた時の血で、痒くて目を擦った時に付いてしまったようだ。たちたちと腕を流れる感覚もないなんて…。ミンギュの目に映る俺は平然としていられているのだろうか。少しの異変で悟られるのではないかと怖くもあった。

『おっ、悪い。気づかなかった、』

知らないフリ、なんてこいつには効かないけど

「…ひょん、疲れてます?前も少し深い切り傷気づかなかったじゃないですか。」

ほらね、感が良すぎて困る

『疲れてる…かもな、ちょっと休むわ』

部屋に戻って、文字通り頭を抱えた。これじゃもう時間との勝負だ。勘づかれるのが先か、俺が活動を制限するのが先か…。

潮時だと思った。このまま隠し通せるはずもなければ、誰にも知られず病気と生きてくことなんて出来ないんだ。ならいっそ、全てを止めて、ゆっくり始めればいいんじゃないかと、思ってしまった。ミンギュとのことも。大好きだけど、愛しているけど、だからこそ離れてやらないと。人間不思議なもので、どれだけ愛していても自分では幸せに出来ないとわかった瞬間、離れることが真っ先に浮かんでしまう。恋人になった時は、夢の中まで一緒にいたいと思ったほどなのに。

クプスヒョンとマネージャーには全てを伝え、ほかのメンバーには精神的にしんどくて少し表舞台から離れると話した。メンバーは驚きはしたが、全力で支えてくれると言ってくれた。お前の穴は俺らで埋めてやる、だから心配するな、と。…心強かった。思わず泣きそうになるのを堪え、最後にミンギュの元へ向かった。

『…みんぎゅ、ちょっといいか?』

部屋に入ると、座っていた彼が立ち上がり、こちらに歩いてきた。ミンギュの目には不思議な力がある。俺を掴んで離さない、嬉しくも悲しい力が。そのまま壁まで圧倒され、身動きが取れなくなった。

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