想いの通じたあの日から毎日が楽しくて。きつい練習や冷たい意見を目にした時でもミンギュがいたから平気でいられた。一日は何故こんなにも短いのかと恨む日もあったくらいに、幸せだった。
病名を聞かされて、現実味が増した俺の中の異変はどう考えてもミンギュにとってはマイナスだった。まだ症状は軽いが時間が経てば仕事だって休まなければならなくなるかもしれない。それも、無期限で。
…だいたいなんだよ、宝石病って。脳が硬直することによって感覚が鈍るったってピンとは来ない。完全な無痛症でもなく、若年性アルツハイマーでもないけど、それぞれの要素は少しづつ出るらしい。ますますわからん。
少し苛立ちながらリビングへ向かう。とクプスヒョンがいた。
「おぉ、うぉぬ。体調どうだ?」
『うん、今んとこはなんとも。』
活動に関わることだからマネージャーとクプスヒョンには伝えてある。あと、ミンギュとの事も。
「…今んとこ、か。みんぎゅには何も言ってないんだろ?タイミング、考えないとな。」
『そうだよな…。』
あいつの事だ。活動休止を伝えれば、自分の持てる力を最大限使って、全力でサポートされてしまいそうだからなかなか踏ん切りがつかない。俺はまだしも将来の明るいあいつを巻き添えにはしたくなかった。
「まっ、今すぐにどうこうってわけじゃないだろうし、ゆっくり考えてみような。」
リーダーの言葉にはなんでか安心出来た。進行の早い病気じゃないからと油断していた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。