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第2話

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2018/08/10 08:04
ゲームの合間に、キッチンに立つ後ろ姿を盗み見る。



「テオくん~ご飯出来たよ~」



急に振り返るから慌ててスマホに顔を向ける。

ドヤ顔で呼ばれて

テーブルの上には炒飯やサラダ、野菜炒めからスープまでじんたんフルコースが並んでいた。



「おぉ、美味そう……」

こんな短時間でこれだけの量を作るのは素直に凄いと思う。

今日は我慢だと思っていた腹の虫が料理を見た途端にグーッと鳴り出す。



「いただきます」

「はいどーぞ!」



何が楽しいのか、じんたんは俺が飯を食べてる姿をニコニコと笑いながら見ている。



「じんたんにしては美味しく出来てんじゃん」

「んふふ、ありがと」



素直じゃない俺の感謝の言葉も、慣れたように笑って受け止める。



箸を止めてジッとじんたんを見つめた。

「それで?」



頑張り過ぎるぐらい頑張ってしまうこの人は

いつもキャパオーバーになると俺の所に来るらしい。

一緒に住んでた頃はすぐに相談に乗れたのに離れて暮らしてるからすぐ会えるわけではない。

だからといって、じんたんが泣き言を言うわけでもないし

俺も慰めたりなんてしないけど

ただ、こうやって俺を頼りにくる彼は可愛いと思う。



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