第4話

代償はーー(裏)
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2020/09/21 03:50
猿山 らだ男
猿山 らだ男
あーあー負けちゃったなぁ…
猿山は何も無い暗い空間で1人寝っ転がってため息をついた。
猿山 らだ男
猿山 らだ男
まぁ最後にみんなと遊べてよかったけど…まさかぺいんとが来るとは思わなかったなぁ
戌亥 綱吉
戌亥 綱吉
なにか心残りが?
猿山 らだ男
猿山 らだ男
みんなと会えないのが心残りかな
戌亥 綱吉
戌亥 綱吉
…申し訳ない
気がつけば猿山の隣には見覚えのある執事が立っていた。顔はよく見えないが、申し訳ない表情をしているのは声でわかった。
猿山 らだ男
猿山 らだ男
気にしてないよ。自業自得だし
猿山はヘラッと笑い執事を安心させようとする
戌亥 綱吉
戌亥 綱吉
…誰かお客様が来たみたいです
猿山 らだ男
猿山 らだ男
え?誰?俺のこと覚えてる人いないんだよね?
戌亥 綱吉
戌亥 綱吉
……例外がいたそうです
???
???
よぉ、らっだぁ、さっきぶりだな
猿山 らだ男
猿山 らだ男
えっ…ぺんちゃん……?
天野 絵斗
天野 絵斗
1人は寂しいだろ?お前は昔っから泣き虫だったからな。
なんで覚えてるんだ?記憶は消えたって…執事が……
猿山は頭を動かして考えるが今は何故目の前に絵斗がいるのかと驚きと不安で上手く頭が回らなかった。
猿の像を撫でる絵斗の温もりはこちらにずっと届いている。猿の像は俺を封印した物。つまり俺の体の半分だと言ってもいい。
手袋越しでもわかる絵斗の温もりに猿山は泣きそうになった。
天野 絵斗
天野 絵斗
らっだぁ、俺はな刑事なんだ
猿山 らだ男
猿山 らだ男
知ってる…知ってるよ……帰ってよ、あいつらを守ってよ。
そんな声も届かず、絵斗はずっと俺に向かって話をしている。あいつがしようとしている事がすぐにわかった。幼なじみの考えてることなんて一瞬で見抜いてしまう。
猿山 らだ男
猿山 らだ男
やめろ!!!帰れ!!おい!執事!どうにか出来ないの?!
戌亥 綱吉
戌亥 綱吉
…こればかりは
顔は見えない。今執事がどんな表情をしているのか、笑っているのか悲しんでいるのか、猿山はそこの点も引っかかった
だけどそれは一瞬の瞬間だった。
手を合わせた絵斗を見て猿山は今度こそ止めに入ろうと動こうとする
だけど自ら神社の外に出ることはできない。出れたとしても絵斗には触れられないし声も聞こえない。猿山は絶望の縁だった。
天野 絵斗
天野 絵斗
神様神様。七不思議様。
天野 絵斗
天野 絵斗
どうかお願いをお叶え下さい。
天野 絵斗
天野 絵斗
らっだぁの封印を解いて欲しい。
猿山 らだ男
猿山 らだ男
やめて!やめくれぺいんと!
天野 絵斗
天野 絵斗
代償は……
やめてと何回も叫んでも決して聞こえるわけない。声がガラガラになっても聞こえていない。

聞こえていたとしても俺よりも正義感が強かった絵斗は止まらないだろうと考えてしまった
天野 絵斗
天野 絵斗
戌亥 綱吉
戌亥 綱吉
その願い叶えて差し上げましょう。
猿山の時が止まった。それは絵斗の代償を承諾した執事に対してだ。
猿山は執事に怒りを覚えた。彼はわかってくれると思っていたのに。
天野 絵斗
天野 絵斗
ほ、本当か?!
執事の声はどうやら絵斗にも届いていたらしい。絵斗はその言葉を聞いて一瞬で笑顔になった。
猿山が叫んでも絵斗には届かない。それに対して猿山は何もない床をドンッと叩いた。
猿山は絵斗と話している執事を見る。そして目を見開いた
猿山 らだ男
猿山 らだ男
(笑、って……る?)
そして猿山は肝心なことを思い出した。こいつは鬼だ。鬼はどんだけ悲しんでも自分が楽しいと思ったことはやめない
それにずっと気づかなかった猿山は唇を噛んだ。鉄の味が口の中に広がる
戌亥 綱吉
戌亥 綱吉
さぁ、先生ここから出れますよ。
天野 絵斗
天野 絵斗
らっだぁ!いつか会おうな!またな!!
猿山 らだ男
猿山 らだ男
ぺいんと…!!
声が枯れるまで叫んでも最後まで絵斗に猿山の声は届かなかった。
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猿山 らだ男
猿山 らだ男
……戻ったのか
目が覚めるとそこは神社の鳥居の前にいた。
記憶は全て残っている。
猿山 らだ男
猿山 らだ男
ぺいんと……
戻ってきてと言えば断るかのように神社の鈴がチリンと鳴った。

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