あなたside
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二宮さんが隣に座って、沈黙が30分以上続いた。
ちまちま飲んでいたお酒も底を尽き、そろそろ帰ろうと席を立った。
マスターにお金を払って
カランカランと音の鳴るドアを開けて外に出た。
__ バタン
あなた)、、雪だ...
外は珍しく一面の雪景色で、帰りを急ぐ人達がたくさんいた。
でも、やっぱり頭の中でチラつくのは二宮さんの顔。
あの時、勇気を出して話しかけていたら…
こうしていたら、こうなっていたかも...
ゆっくりと歩みを進める。
後ろからたくさんの人が追い抜かしていく。
自分の無力さにただただ落胆した。
パタパタパタ _____
グイッ___
!?
和)ハァ、ハァ、、、ご、めん、
私の手を掴んだのは、二宮さんだった。
あなた)に、二宮さん、?!
ハッとして周りを見回す。
まだ誰も気づいてないけど、バレるのは時間の問題。
和)ちょっとだけ、良いかな?
私は無言で頷いた。
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二宮side
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彼女がお店を出てから10分後。
ガタッと席を立って彼女を追いかけた。
何してんだよ俺、、
このままじゃかっこわりぃじゃん
幸いにも彼女は遠くなく、すぐ捕まえることが出来た。
でも、案の定驚いた顔をして俺を見る。
そりゃあそうだよな
今日会ったばっかりの男、それも俺に手首捕まえられてんだもん。
和)ちょっとだけ、良いかな?
コクリ)
無言で頷いた彼女の手首を引っ張って、人気のないところまで連れていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!